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近所の中華屋

2019/05/12

今の今起こった出来事。
俺は仕事柄、いつも夕飯が遅い。
うちの近所に中華屋があるんだが、
こんな時間まで開いてるのはそこくらいしか無くて、結構重宝してる。
週3~4回のペースで、もう2年くらい通ってるが、こんな事は初めてだった。
いつものように俺が中華屋に入ると、
普段ガラガラな店のカウンターに物が置いてある。
一つは椅子の上にハンドバッグ。
もう一つはテーブルの上に携帯。
誰か席とって、トイレでも行ってんのかな。
繁盛してないこの店で珍しいこった。
くらいに考えて煙草に火を着けていると、
ガラガラと店の戸が開いて若い女が入ってきた。
チラと見ると、少し恥ずかしそうな顔でハンドバッグを取り、出ていく。
あぁ、忘れ物か、なるほど。
なんて考えてると、また戸がガラガラ。
今度は若い男だ。
「はは、ちょっと忘れ物を…」
なんて言いながら携帯を取って出ていく。
「2連続なんて珍しい事もあるんだね」
と店主に話しかけてみたら、
「さっきも携帯忘れてった人が居ましてね、預かってるんですよ」
との事。
そうこうしてるうちに飯も出てきて、食べていると、戸がガラガラ。
今度は初老の男が入ってきた。今回は普通の客だった。
俺がマッタリ食べていると、男の方が先に食べ終わり、会計を済ませて出ていった。
俺もそろそろ行くかと、会計をして店を出ると、さっきの男が足早に店に戻ってくる。
まさかね…なんて思いながら煙草に火を着けようとすると、ライターが……無い。
男はカバン、俺はライターを持って、照れながら店を出る羽目になった。
今日あの店には、忘れ物の神様でも来てたのかね。

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