二つ上のお姉さん

2019/05/10

小四の時、新興住宅地へ越した。
近所に二つ上のお姉さんがいて、すぐに仲良くなった。
小さい住宅地で子供が少なかったせいもあるんだろう。
近い世代は俺とそのお姉さんしかいなかった。
小学生の頃は一緒に遊んでもらったし、
お姉さんが中学へ上がっても外で行き合えば挨拶をしてくれた。
高校になり、俺は塾通いをし始めた。
終わると俺はよく住宅地の裏手にある高台の公園で休んでた。
パンを食ったりジュースも飲んで、ゲームをしたり。
要するに息抜き。
高一の九月、夏休みが明けてしばらく経ったある日、
いつものように夜、その公園へ寄った。
見晴らしがいいから、何の気無しに住宅地の方角を眺めていたら、
例のお姉さんらしき人の姿が見えた。
家の二階にいて、表が暗いから屋内の明かりで
窓ガラスの向こうに立っているのがよく見える。
ただ、その姿が普通じゃない。
遠くからだが、どうもペンキか返り血を浴びたように真っ赤なんだ。
赤い血(か塗料?)は、お姉さんの学校の制服の上にかかっていた。
しかもその家、お姉さんちじゃなかったんだよね。
窓の中にお姉さんが見えたのは、独身の会社員の家。
(会社員は確か三十代か四十代・・・・もっと若かったのかも知れないが、
俺も高校生だし、見た目で判断出来なかった)
で、その会社員かまでは見えないが、
明らかに男性かと思える人影が、お姉さんの足元に倒れてたんだ。
その男性も、Yシャツを血だらけにし倒れている。
そして、これは錯覚か思い込みかも知れないが、
お姉さんの手には刃物が握られていた。
思考が一瞬停止する。
変な言い方になるけど、リアクションに困った。
一体何だあれは。芝居かパーティーでもやってんのか。きっとそうだ。
でもお姉さんの表情が険しいんだ。
見た事が無いくらい。
ここまで時間にして三十秒も無かったと思う。
それ以上は見なかった。
変な話、お姉さんと目が合ったらマズイ。叱られる。
俺のほうが勝手に覗いて、悪戯してる気になって、逃げたから。
自宅へ帰っても親に相談は出来なかった。
どう考えても現実的じゃない出来事だし。
次の日になって、近所で何も起きなかった。
警察が来るような事もなく、大人達の様子もおかしくない。
何日か後にはお姉さんとも表でバッタリ会い、
「おはよ○○君」
と普通にいつも通り挨拶して貰えた。
俺も塾通いで忙しく、すぐに普段の日常へ埋没していった。
それから三年後、大学へ進み、夏に帰省してきた時、
フと夏という事もあり思い出し、親へ
「そう言えばあの独身会社員の人は?」
と聞いた。
俺が高一だった一月ごろに、
心筋梗塞で亡くなったという話だった。
自室で亡くなっていたらしい。
一月?心筋梗塞?
「血まみれになったりしてた?」
と聞くと、
「いや心筋だから全然そういう風じゃなかったらしいよ」
と。
親は特に何かを隠している様子は無い。
近所でそれとなく
「あの人こうだったんですね」
と聞いても、同様だった。
どうもおかしい。
少なくとも俺が何か見たのは本当らしいのだが。

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