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クリスマス特別企画

2019/05/08

俺が消防だった頃の話。
近所の小さな珠算塾(ソロバンね)に通ってた俺は、毎年クリスマスの日の塾を楽しみにしてた。
クリスマスの日だけは授業をあまりやらずに、
先生が8ミリフィルムの映画を子供たちのためにかけてくれるからだ。
アニメが主体で、『がんばれタブチ君』とか、ディズニー映画、チャップリンの映画などを見せてもらう。
それが終わったら、先生がお菓子をみんなに分けてくれる。
毎年すごく楽しかった。
しかし、俺が消防6年だったその年はいつもと様子が違っていた。
10畳ぐらいのスペースの小さな教室で、生徒は13人くらい居ただろうか。
先生が映写機に8ミリをセットすると、教室の照明を全部消し、映写が始まる。
シャーーッという機械の音。手製のスクリーンに光が映る。
ところが、いつまで経ってもお目当ての『がんばれタブチ君』が始まらない。
「あれ?おかしいなぁ。ちょっと待っててくれよ」と先生が言って、
何か道具を取りにいくのか教室を出て行った。
まだ回りっぱなしの映写機は、真っ白な画面からしばらくすると突然何かを映し出した。
女の子。俺らと同年代くらいの女の子が、元気いっぱいに公園らしきところで遊んでいる。
俺らもよ~く知っているその女の子。
そう、先生の娘さんだ。趣味の8ミリカメラで撮ってあげたものだろう。
俺たちは急に怖くなった。
なぜなら、その女の子は1年程前に病気で亡くなっているからだ。
いつもはバカ騒ぎばかりしている俺たち生徒は、
一言もしゃべらず、なにかスクリーンから目をそらすように俯いている。
3分くらい経っただろうか。
ようやくフィルムが終わって、映写機が自動的に止まった。
レンズからの光も消えて、教室内はまた真っ暗に。
一番前の席に座っていた生徒が暗闇に耐えられなくなったのか、席を立って、
「スイッチどこかな?」と照明のスイッチを探し始め、こちらを振り返ったその時、
後ろの席のほうに指をさして、泣き声とも叫び声ともつかない声を出しながら教室を走り去った。
堰を切ったように、教室の全員が無言で出口に向かって走り出した。
集団ヒステリーってやつだと今になって思い込むようにしてるが、
それでも未だに腑に落ちないのは、あの時、最後に教室を出た生徒(仲のいい友達だった)は、
塾の出口でものすごい力で先生に腕をつかまれて、
「逃げるんじゃない」と、すごい形相で言われたらしい。
それをきっかけに俺は塾はやめましたが、その塾自体はまだ営業中。

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