木造の分校跡
2019/04/28
長野で働いていた時のこと。
住み込みの職場で、
しかも木造の分校跡を寮に使っていました。
(私はそこの舎監)
ある晩、二階の自室から一階のトイレに行った所、
階段の降り際にある窓からふと外を見ました。
ちょうどグランドが見えるのですが、
そこを小走りに6,7歳くらいの女の子が駈けていきます。
そのまま校舎の裏手に回りました。
私は
「子供(小学生の寮でしたので)が抜け出したのか?」
と思い、トイレに入りました。
ここの窓からは、
子供の入った校舎裏が見渡せます。
急いでトイレの窓を開けると、
誰もいません。
不思議に思った私は、
「まだ中には戻っていない。
子供部屋を調べて、いない子供が犯人だ」
と思い、4つの子供部屋を見回りました。
でもみんな寝ています。
実はその人影そっくりな子がいたので
怪しいと思っていたのですが、
ぐっすり寝ています。
翌朝、なんとなくその話をみんなにしたところ、
私が怪しいと思っていた子が、
「夕べ知らない子とグランドで遊んでいる夢を見た」
と言うのです。
詳しくその子の姿形を尋ねると、
スラスラ答えます。
低学年だから作っているとも思えません。
では、あの人影はこの子の生霊?
後日、地元の人と話している時にそのことを話すと、
近くを流れる川は護岸工事する前は急流で、
よく子供が落ちて死んだそうです。
「その誰かが、出てきて遊んだんじゃねえかな?」
そう、地元の年寄りはこともなげに言いました。
その何でも無さが、よけい怖かったです。