石の玉の祈祷
2019/04/27
祖母とその妹の話。
祖母は病弱で、
親や親戚は嫁に出せないとあきらめてた。
そのためいい縁談は祖母の妹に集まり、
「姉にもお世話して欲しい」
との条件で、大きな家に先に嫁に行った。
その後、祖母も望まれて結婚、子どもも4人産んだ。
しかし妹は、健康だったが
運悪く子どもに恵まれなかった。
当時は不妊治療もなく、
民間療法や祈祷をしょっちゅう舅姑から迫られていた。
拝んだ石でできた玉を膣に入れるという祈祷をした後、
男の子を一人授かった。
でも母乳が出ず、
4人目を産んだばかりの祖母が預かったりもしたらしい。
乳離れもしてようやくのんびり生活になりかけた頃から、
祖母の妹は病気がちになり、
子どもが中学の頃に病気で亡くなってしまった。
その後しばらくの間、
祖母は怖い夢をたくさん見た。
陣痛とともに黒い石ころをたくさん産んでのたうちまわる、
子どもを産んだら大きな石だった、
妹が夢に出てきて崖から飛び降りるなど。
一時ほど見なくなった頃、妹が夢に現れ
「ねえさん、…お腹…石」
と言って泣いてた。
気になって甥に連絡してみたが、
何も変わったことはなかった。
その後、祖母は貧血がひどくなって倒れることが数回あり、
病院にいくと大きな子宮筋腫ができていて、
手術で子宮ごととった。
摘出した筋腫は子どもの頭くらいで、
髪の毛も歯もあった。
ずいぶん後に妹の婚家の知り合いに聞いた話では、
妹は舅姑にいじめられて辛い生活を送っていたらしい。
筋腫は妹の恨みの塊だったのかもしれないと、
祖母は今でも思っている。