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眼球

2019/04/12

俺は夢にムラがある。
よく覚えてる時期があったかと思うと、
全く夢を見ない時期が訪れ、それが交互に入れ替わる。
ある晩、夢の中で買い物をしていた。
そして何故か体育館みたいな高い天井の施設の壁に
びっしりと商品が詰まれており、
皆そこに梯子をかけて商品を取っていた。
そして会計をして、財布から眼球を取り出し、
それを代金として払っていた。
そこで目が覚めた。
最後に金の代わりに眼球を使用していた所だけが不気味だったが、
とりたて悪夢という感覚でも無かったため、
「変な夢だな」
と思いつつ、
「また夢の中身覚えてる」
という感情のほうが勝っていた。
少し間を置いて、
周囲がおかしいことに気づいた。
何も無い。
布団だけでグレーな世界が広がっている。
いや、黒い点が白の中に点在しているというべきか、
ちょうどマンガのトーンみたいな感じに。
訳が分からず、
ただきょろきょろするだけの俺だったが、
少しして凍りついた。
黒い点は瞳だった。
白い部分は白目だった。
数え切れない眼球が俺を見ている。
黒いから東洋人の目なのかな?
まあここは日本だし日本人のだろう。
パニックだったのかそんなことをただ考えていた。
そして眼球が取り囲んで作っている空間が狭まり、
目が近づいてくる。
そこで目が覚めた。
「??」と思ったが、
夢の中で夢を見る「二重の夢」というものだった。
俺は夢の中で「これは夢だ」ということを認識など出来ないため、
夢の内容にただ流されることしか出来ない。
ともあれ最悪な休日の目覚めである。
時計を見るとまだ朝の5時。
安堵感から睡魔が再び舞い降り、
二度寝をした。
また夢を見た。
今度は普通に生活をしている。
友達の軽4に乗ってゲーセンに遊びにいったり、
突然上司が出てきて飲みに付き合わされたりと
夢によくある突発的な展開が続いていた。
ただ、夢に出てくる人間全ての「眼球」が無かった。
しかしそれが異常だという認識は夢の中では無く、
ただ夢を楽しんでいた。
突然母親が
「あんたいつまで遊んどんよ!ご飯やろが!」
と怒鳴った。
よく見ると俺は小学校の制服で、
友達もみんな子供に戻っていた。
母親に手を掴まれ、
引きずられるようにして家路につく。
何故か母親には「眼球」があった。
そこで現実の世界で携帯が鳴った。
7時の目覚ましである。
起きてからこそ変な夢だったと思うものの、
夢の中の自分は本当に楽しそうだった。
しかし目を開けたすぐそこに、
スプーンみたいなもので
俺の目を抉ろうとしている痩せた男がいた。
こいつも眼球が無い。
俺が目を覚ましたことに多少たじろいだが、
スプーンを目にあててきた。
「うぁぁっ!!」
男を蹴りあげ、階段を駆け降りた。
両親に説明し、
三人で部屋に向かったがそこには何も無かった。
色々と探したが結局何も手がかりは見つからず、
寝ぼけていたことにされた。
しかし目に触れた金属の冷たさも
はっきり記憶に残っている。
断じて寝ぼけていたなんてことは無い。
とにかく今日寝たらどうなるのか、
それが今怖い。
誰かに話せば気が紛れると思って今これを書いている。
寝るのが怖い。

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