湿気
2019/04/05
大学時代にアパートに一人で住んでいた。
別に特別古くも新しくもない、
平均的なワンルーム。
2年目の冬、帰宅後の習慣で、
俺は換気をのために窓を開けた。
その時なにか冷たい風にのって
何かがフワッと入ってきたように感じたが、
気に留める程でもなく、普通に生活していたんだけど、
それから部屋の中が異常に湿気ぽくなるようになった。
1年の冬はそんなことにはならなかったし、
梅雨でもここまではっていうくらい水気が凄い。
玄関にある備え付けの木製の下駄箱があっという間にカビて、
中はナウシカの腐海のような状況に。
部屋の隅の床や壁も、
どれだけ気を付けても水滴が浮き、
カビが生えるようになった。
敷金は帰ってこないだろうなと覚悟した。
それどころか、別途でかかるかもしれないと思うと陰鬱だった。
また、その頃から、
部屋に自分の他にもう1人いるような気がするようになった。
掃除や換気にはかなりマメな方だし、
今までなかったことだから、何か霊的な現象ではないかと思ったが、
貧乏学生に引っ越せる金があるわけでもなく、そのまま住むしかなかった。
それに、何故か一過性のものだと感じていた。
急に始まったのだから、急に終わるだろうな、くらいに。
それから3ヶ月くらいして、
ちょっと暖かくなってきたなーって思いながら窓を開けると、
外から入ってくる風とは別に、部屋の中から何かがふわっと出て行った。
その瞬間から、なんか部屋がすっきりして、
広くなったように思えた。
関係性があるかわからないけど、
そのすぐあと5万程度だけど宝くじが当たった。
退去時に追加でハウスクリーニング代が要ったから、
とんとんだったけど。