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いないよねっ!

2019/03/28

高校生だった頃の話です。
私の所属していた部活では、毎年夏になると
校内で合宿をしていました。
合宿所は校舎の影になった古い建物で、
その二階に宿泊する部屋があるました。
大きな部屋にずらりと金属製の二段ベッドがならんでおり、
昼間でも薄暗く、霊感に全く縁のない私も
一人ではいたくない場所でした。
合宿中の事です。
部活の練習時、後輩が忘れ物をしたと
一人で合宿所に行ったのです。
そのまま練習を続けていたのですが、
直に廊下をばたばたと走ってくる音が聞こえ、
真っ青になった後輩が駆け込んできました。
その夏、合宿所を利用していたのは私達の部だけでした。
そして、彼以外の部員は全員練習に参加していました。
薄暗い無人の合宿所に入った彼は、
少々気味が悪かったのをまぎらわせようと、
「誰もいないよねっ!?いないよねっ!いないよねっ!」
と、大きな声を出しながら部屋に入っていきました。
細い声で
「はい」
と返事があったそうです。

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