振り向くな
2019/03/28
中学の時の話でも。
俺の学校は小学校と横並びに建ってまして。
その小学校は戦前から建っていて、
一部改装工事をした際、
戦時中の爆撃の焼け跡が出てきたりしてました。
そのせいもあって、怪談話には事欠かない学校でした。
中3の頃、生徒会文化委員長をやってたのやが、
それがまた面倒くさい仕事で、ベルマークの集計とか・・・
まぁそんな話はさておき、
その日は文化祭の準備で連日、
夜遅くまで準備に追われている時でした。
準備も一段落ついた頃、
なんか話の流れから肝試しでもすることになりまして。
会場は当然のごとく隣の小学校。
1階の教室の窓が開いているとの情報をもとに、
そこから一人ずつスタートしました。
校舎はちゃんとした鉄筋コンクリート製なのだが、
なぜか一階の廊下だけは木張りでできており、
歩くたびに
ギシッ ギシッ
と軋む音がして。
廊下歩くだけでも怖すぎるわ。
あげくに二宮金次郎が走ってくるんやろ・・・
などとぶつぶつ文句垂れながら歩いてました
ふと前方が気になり、目を凝らして見てみたものの、
暗闇が続くばかりで特に変わった様子無し。
再び歩き始めたその時、
ギシッ
前方から音が。
さらに一歩踏み出すと、
それに合わすかのように
ギシッ
歩いて行くにつれ、
おれの歩調に合わせて前方から何かが歩いてくる。
金次郎?
いやいや、そんなわけが。
大体、あれは銅像やし。
つーか、前には何もおらんし。
少しずつ前に進む俺。
それに合わせて歩いてくる金次郎。
逃げ出したい衝動を抑えながら廊下の中央まで進んだ。
そして、俺の一歩と金次郎の一歩が重なった瞬間、
目の前に女の顔が。
血みどろで、半分焼け焦げた痕が。
叫ぶことも忘れた俺に一言、
”ここから先は振り向くな。”
震える膝を堪えながら前に一歩踏み出すと、
またそれに合わせて
ギシッ
今度は後ろから。
廊下の先にある壁だけを見つめてひたすら前へ。
それに合わせて遠ざかっていく足音。
ようやく壁にたどり着いたその時、俺の耳元で
”なんで振り向いてくれへんの?”