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あけれません

2019/03/13

俺の姉ちゃんの体験した話。
真冬の物凄い寒かったある夜。
姉ちゃんがベッドに寝てると、
自分の頭の横で、
何かバタバタ音がするから、
「うるさいなー」
と思いつつ、
何かを確認しようとして目を開けようとしたが、
目が開かない。
それと同時にバタバタという音がだんだんデカくなる。
「うわー何?何?」
って姉ちゃんが焦っていると、
いきなりその何かが胸に乗ってきた。
ピョンピョン跳ねて、
キャッキャッ笑ってるらしい。
明らかに小さい女の子の声だ。
もの凄い汗をかきながら、
姉ちゃんはわけわかんない念仏を唱えてると、
「目を開けて見て」
って声がした。
姉ちゃんは、
「あけれません…」
と呟いてみると、
その何かが、
「目を開けて寝ると、まーるいお菓子が貰えてね。
大丈夫なの。
だからまーるいお菓子が貰えてね大丈夫なの。」
と繰り返す。
姉ちゃんは、
無理だと思いつつ目を開けてみると、
そこには、どこにでもいそうな、
女の子が、馬乗りになって姉ちゃんの上に乗ってる。
姉ちゃんは気が遠くなり、
そのまま、意識がなくなった。
次の日姉ちゃんにその話を朝から聞いた。
「ねーよwwwwwwwwww」
って俺は笑いながら茶化した。
「そうだよね?サーセンwwwwwwwwww」
って姉ちゃんも笑ってた。
それが、
姉ちゃんと喋った最後の会話だった。
姉ちゃんは、
その日の通学中に車にひかれて死んだ。
目を見開いて。
葬式の時に、
お供え物の準備をしてると、
親戚の女の子が、俺のとこに走ってきた、
「これね、みっちゃんがね、お兄ちゃんに渡してって」
って言うから、
俺はテッキリその見知らぬ親戚のみっちゃんて子が、
俺にお菓子をくれたんだなって思って、
ありがとうって、受け取った。
「みっちゃんって誰?」
って女の子に聞いてみると、
「みっちゃんはね、押し入れの中に住んでるから、
外に出れないんだって
でも、もうすぐ出れるって」
俺はそれ以上何も聞けなかった。
女の子のくれたお菓子は、
丸い旨そうな、まんじゅうだった。

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