おとうさん
2019/03/11
子どもの頃の怖い話。
父は、休みになると本当に一日中寝ていた。
眠そうな目をして遅めの朝食を食べ、
再び布団に戻ると夕飯まで起きない。
たまの休みぐらいゆっくりしたい気持ちは、
今でこそ理解できるが
まだ幼かった私は、
かまってくれないことに腹を立て、
よく泣きじゃくっていたらしい。
夕飯前に父を起すのは私の仕事だった。
私は、こんもりと盛り上がった布団の上に
勢いよく飛び乗った。
「おとーさん、ばんごはんだよ~!!」
「んー」
起きているのか寝ているのか分からないような、
低い声が聞こえる。
どうやら目覚めが悪いらしい。
布団から起き上がる気配もない。
父の布団の中に潜り込もうとしたとき、
母が台所から私を呼んだ。
「けいちゃん、お父さんなら今日出張でいないんだよ」