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ニンマリとする雛人形

2019/03/02

私が幼稚園のころのことです。
うちは2人姉妹でしたが、
家にあった雛人形は段飾りの立派なものではなく、
ガラスケースにちんまりとおさまった雛人形セットでした。
ひな祭りの頃になるとケースごと居間に飾られ、
時期が過ぎると棚の上に置かれる程度のものでした。
それでも一応、
お雛様・お内裏様・3人官女が揃っており、
箪笥や牛車、造花の桜と橘、
木でできた菱餅や小さな道具類が並べられていました。
糸のような目におちょぼ口。
見ようによっては笑っているようにも見えます
が、全体的にはむしろ無表情なものでした。
私は雛人形には興味もあまりなく、
ただミニチュアのようなお飾りだけを愛でていました。
ある夜中、私はトイレに起き出しました。
トイレは居間を横切った向こうにあります。
つまり行くときにはケースに背を向けていましたが、
戻るときに、ちょうどケースの中身が見えたのでした。
薄暗い居間のケースの中で、雛人形がいっせいに、
音もなく首を左右に振って笑っていました。
糸のような目はそのままでしたが、
おちょぼ口はニンマリと左右にのび、
なんともいえない邪気を発しているようでした。
私は転げるように部屋に戻り、
布団をかぶって震えて夜を明かしました。
その後は特に怪異もなかったのですが、
その時以来私はひどい人形嫌いになってしまいました。
その人形はいまだに実家に飾ってあります。
雛人形の首がはたして左右に揺れるものかどうか、
たぶんしっかりねじ込まれていて
揺らすことなんか不可能なんだろう、とは思うのですが、
手にとって確かめる勇気は30年たった今でもありません。

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