美人の肖像画
2019/02/27
ウチの母方の祖父母は夫婦揃って絵画を集めるのが趣味で、
祖父母の家に遊びに行ったときに良く見せてもらっていた。
(無名の作家のモノばかりで高価なモノは無いと笑っていたが)
その中に長い金髪の女性の肖像画があったんだが、
俺はソレを
『優しく微笑んでいる美人の肖像画』
と認識していた。
だけどある日、祖父にソレを言ったら首を傾げられた。
どうやら俺以外は
『無表情で冷たい印象を受ける美人の肖像画』
と認識していたらしい。
気になった祖父が前の持ち主に確認してみたらしいが、
特に云われなどはない、
ごくごく普通の絵画という答えしか返って来なかったらしい。
その時は俺がちょっと感覚がズレてるのかなと言う結論になった。
つい先日、祖父母から、
いくつかの絵画を知人や親族に譲ろうと思うから、
欲しいのがあったら取りに来なさいという、
という旨が書かれた手紙と、
いくつかの絵画の写真が届いた。
その中に例の肖像画の写真も入っていたんだけど、
昔と違い『冷たい表情の美人』という他の人と同じような印象を抱いた。
まあやっぱり子供特有の勘違いだったんだなと思いながらも、
何かの縁だろうと例の肖像画を譲り受ける事にした。
そして祖父母に連絡して、
取りに行ったときに少しだけ背筋に寒いモノが走った。
写真で見たときと違い、やっぱりその肖像画は
『優しく微笑んでいる美人の肖像画』
だったから。
人形に魂が宿るというのは良く聞く話だけど、
絵画にもやっぱり魂が宿ったりするんだろうか?