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死者だらけ

2019/02/13

雨降りの夕方。
俺は家に帰ったんだ。
そしたら母ちゃんがばたばたと仕度している。
「あんた何やってたのっ
叔父さんが亡くなったのよ。
早くしなさい」
という。
え?どこの叔父さんだと思いながら、
とりあえず用意しようとしたら電話が鳴った。
「はい。もしもし」
背後では一人何事か呟きながら
動き回る母ちゃんの気配が。
「もしもしっ俺だ。
落ち着いて聞けっ
いいか」
かなり切羽詰った口ぶりで
相手はいきなり喋りだした。
あれ・・・誰だろう。
叔父さんが亡くなった事を、
知らせるには変だしなんか引っかかる声・・・
「死んだのは母ちゃんだっ
振り向くなっ
俺が行くまで絶対振り向くなっ」
ああ・・・兄ちゃんだ。
去年バイク事故で亡くなった
兄ちゃんの声だったんだ。
硬直して体は動かない。
どうなってるんだ?
背後は静まり返りさっきまでの音はない。
「なにやってるの・・・早くしニなさい」
耳元で囁かれ俺は気絶した。んだと思う。
その後記憶はなく、
電話の前で倒れている俺はその後
母ちゃんに起こされた。
母ちゃんは友達と出かけていたという。
じゃああの日家に居た母ちゃんは?
兄の声は間違いなく兄だった・・・亡くなったはずの。

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