声の主
2019/02/12
夜中にコンビ二に買い物に行った。
東京とはいえ
東のはずれにある住宅地で、
人通りはまるで無かった。
大通りの角にあるコンビ二で用事を済ませ、
オレンジの街灯の下
自宅に向かって歩いていた時、
女の子の声で
「ふふふ」
と笑い声が聞こえた。
私はその瞬間こおりついた。
相変わらず回りに人の気配は無い。
ただそこで私は
「人がいないのに笑い声が聞こえた」
から怖がったのではなかった
声の主は頭上、
数メートル上のあたりにいるようなのだ
そこで上を見る勇気もなく、
私は足早に家に向かった
数メートル先を左折、
小さな坂を下り、数分後に右折して私の家
その五分をかからない時間が
おそろしく長く感じた
最後の右折、
ちょうど小学校の正門がある前で思った
上にいる(いた?)何かを確認しなければ。
ついてきたら困る
数秒間迷い、決意して、
足早に歩いて荒くなった息も整った頃
思い切って上を見上げた・・・が見えなかった
その瞬間「何か」に頭を押さえつけられた
同時に聞こえてきた女の子の声は言った
「お母さん見つけた」
・・・私は独身だし子供もいない
(やばい・・・やっかいな霊に呪われる、とりつかれる)
ダッシュで帰宅、
両親を起して事情を話した
一晩中家族が起きててくれて、
朝までなんとか無事過ごした
それから一ヶ月間、
数時間ごとに笑い声が聞こえる
もちろんその瞬間は
上を向いても押さえつけられる
お払いも効かず体調を崩し、
ほとんど眠れない
そこで昨夜、
勇気を出してその声に向かって聞いた
「人違いだよ、子供もいないし。いい加減にして」
女の子の声はあきらかに怒っていた
「生まれる前に殺したくせに」