閉じこめられる
2019/02/04
昔、修羅場の時に良く友達のアパートに行ったのだが、
そこがジャストで「出る部屋」だった。
私も友人も気にしない性格なので、
細かい事は割とスルーしていたが、
一個だけ、妙な体験をした。
友人の部屋に泊まり込むと、
ほとんど必ずと言っていい程
「狭い場所に閉じ込められる」夢を見た。
しかも結構リアルで、
手足を縮こまらせているしかないスペースの暗闇で、
こちらからはどんなに叩いても悲鳴を上げてもぴくりともせず、
何も出来ないまま、
どんどん酸素が減って行くのだ。
いつも死ぬ寸前に目を覚まして、
汗びっしょりで目を覚ましていた。
あるとき、その夢が中々覚めない事があった。
いつもなら夢が覚める辺りでも
自分はずっとその場所にいる。
私は「これは夢だ」と必死に思い続け、
どこかに体当たりして、ようやく目を覚ました。
布団から起き上がってぜいぜい言っていると、
変な事に気づいた。
すぐ横のキッチンからかすかに物音がするのだ。
しかも聞いてみると、
なんとなく聞き覚えがある。
私はそっちを向いて、
状況を認識したとき、ぞっとした。
物音は冷蔵庫のなかから
断続的に聞こえて来る。
そしてその音と言うのは、
私の声に物凄く似ていたのだ。
「たすけて」
「出して」
とか、夢の中で言っていた叫び声だった。
なんか、冷蔵庫自体も
がたがたいっていたような記憶がある。
やがて音は止んで
何事もなかったように静かになった。
私はそれを確認した後、
色々考えていたが、
段々面倒になって来て、
結局そのまま寝た。
次の日、友人に事情をそれとなく話すと、
彼女も似たような目にあっていた模様。
幽霊云々じゃなく
「落ち着いて寝られない」
という理由で、彼女も流石に引っ越した。
今でも、あれは何だったんだろうなあと思う時がある。