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不審な状態の故人様

2019/01/31

ちょっと関係ないかもしれないので、スルーしてくれてもいい。
オカルトというか、人間って怖いなって思ったこと。
俺、湯灌(ゆかん)師してます。
湯灌についての詳しいことは適当に調べてくれ。
説明がめんどい。
簡単に言うと、故人様を処置して、
服を脱がせお通夜前にお風呂に入れてさしあげて綺麗にし、(←ここまでが湯灌)
死に化粧して、お着替えさしてあげて、
納棺後綺麗に飾り付けってのが一連の仕事内容なんだ。
これを二人で一時間でする。
数年前のことだが、ある時仕事が入った。
葬儀社から連絡が来て斎場に向かうんだが、
葬儀社から教えてもらえる情報で、
・故人様は女性で30代前半。
・事前情報で施設で無くなった。
・死因は脳梗塞。
・遺体の状態は、損傷なし。
ただ、腹水がたまってるようで、腹部が膨れている。腹水は出てない。
・宗派は無し。
となってた。
ここで俺はちょっと嫌な感じがした。
腹部が膨れてるのに、腹水が出てない??
まぁそんなこともあるのかな?
症状も色々だしなぁと思い直し、斎場へ向かった。
現場に着いて、遺族に挨拶し、施行に入る。
斎場で湯灌するために、故人様の状態を調べてた。
(遺体に損傷がないか、傷や出血がないか、濡らしても大丈夫か。
確認は故人様を裸にしてからするんだ)
たしかに腹部は膨れてる。
しかし、腹水って独特の匂いがあって、
一年もこの仕事してればすぐに分かるんだが、
その故人様から匂いがしなかった。
で、もう一人の人にも腹水確認をしてもらったが、その気配はないと言う。
少し不審に思ったけど、まぁ故人様も色々だしなと言い聞かせ、
背中を見るために半身起しすると、背中に無数の痣やみみず腫れの跡。
すぐに施行を中断し(着ていた浴衣を着せて、ドライアイスは当てました)、
まずは葬儀社の担当へ報告。
担当は遺族と話をするので、俺らはしばし待機。
10分ほどして、担当から
「この湯灌は中止にしますので、今日はお引き取りください」
と言われ、俺らは帰社した。
後日、担当に話を聞くと、
・故人様がいた施設は障害者用の施設で、そこで虐待をされてたらしい。
・腹部が膨れてたのは、腹水ではなく妊娠7ヶ月。
・自殺の場合は検視とか入るが、病死の時は結構適当。
など、色々聞かせて貰った。
不審な状態の故人様は結構見てきたけど、
ここまであからさまなのは初めてだった。
警察沙汰になったのもね。

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