ネット上に存在する不思議で怖い話を
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古めかしい便せん

2019/01/16

東京に上京している
専門学校生の友人から聞いた話です。
千葉県‥‥といっても
比較的東京寄りの地域に住んでいる女性がいました。
彼女は気立てがやさしく正義感の強い、
25歳程の女性(A子さんとします)で、
5歳年上の会社員の彼氏と同棲しており
彼女自身も東京の比較的都心に近い場所にある
会社に某私鉄の東○線を利用して
OLとして働いていたそうです。
2人の付き合いは長く、
築20年を悠に超えるであろうアパートでの2人暮らしは
すでに5年目を迎え
お互い口に出さないながらもそろそろ結婚も‥との思いからか、
ひそかにそれぞれ貯金しながら切り詰めた生活を送っていました。
年末も押し迫まったある日、
彼が中心となって立ち上げたあるプロジェクトが大成功を収め、
大仕事を成し遂げた彼は昇進したそうです。
仕事に自信が出てきた彼はこれを機会に
A子さんへのプロポーズを決意し、
A子さんも喜んで受け入れ
2人は夫婦になる約束をしたのでした。
ある日、残業で遅くなったA子さんが
足早に帰宅の戸に付くと
玄関の郵便受けに便せんが入っているのに気が付きました。
数日前に結婚披露宴の資料の請求をしていたので
それが送られてきたのかなと思いつつ手にとってみましたが
どうもそうではないようです。
消印の日時は
経年劣化のように擦り消えかかった状態で読み取れず、
宛名欄に
「○○(ある地方でしか見ないような特有の苗字)」
となんとか読み取る事ができる
やけに古めかしい便せんで
ある事に気が付きました。
A子さんとは苗字が違うので、
配達員が間違ったのかなとふと考えてみたものの
自分達が住んでる部屋の両隣に住んでいる住人も
その比較的珍しい苗字ではない事に気づいたA子さんは
おかしいなと思いましたが、
気立ての優しい性格がそうさせたのか
彼女が住んでいるフロアにこの手紙の受取人がいるのでは‥?
と思い一軒一軒尋ねて廻ってみたのです。
しかし、彼女が住んでいる2階フロアはもとより
1階フロアにもその苗字の住人はいない事が判明しました。
A子さんは、おかしな事もあるもんだ‥と思いつつも
この手紙を待っている人がいたらと思うと
気軽に捨てる事もできず、
アパートの大家にこの手紙について相談する事にしたのでした。
アパートの隣にある大家の家をA子さんが尋ねると
70歳前後の男性の管理人が姿を現しました。
挨拶も程ほどにこの便せんを手渡し
どうするべきか指示を仰ごうとすると、
それを受け取った管理人の表情が
微妙に引きつったように変化したのを
A子さんは見逃しませんでした。
A子さんが問い詰めると、
管理人は重い口を開き語りだしました。
この便せんに書かれている○○という珍しい苗字の人間は
今は当然A子さんが住んでいるアパートにいるわけもなく、
管理人さんが20年ほど前に、
当時携わっていた仕事が大成功して大もうけし、
それを機会に今でいう脱サラをして不動産業にくら替えし、
このアパートを建てた20年前に
最初の住人として住み着いた
地方出身の夫婦の苗字と同じだという事です。
この管理人とも年が近い事もあって
親しい友人のように付き合っていたそうです。
しかしその夫婦はすでに十数年前に
実家に引越してしまったそうです。
このまま捨ててしまう気持ちにはとてもなれず、
失礼ながらも管理人さんは
この朽ち果てていると言ってもいい古ぼけた便せんを空けて
中身を確認する事にしたのです。
そうする事で
何か次に繋がる情報を得られるかも知れない
と思ったからです。
中に入っている手紙には
次のように書き綴られていたそうです‥‥
‥ここはどこだろう‥‥耳を澄まして‥‥みます‥‥‥‥。
そうか‥‥‥ここ‥は‥‥地下‥鉄‥‥?
体に感じる‥ガタンゴトンという‥特有の‥感覚と‥‥
‥トンネルの‥中とわかる騒音‥‥‥でそうだと‥わかりました‥‥。
‥‥お母さんとも‥よく買い物に行く時に‥‥一緒に乗りましたね‥‥。
‥でも‥おかしい‥‥。私は‥眠っていた‥‥の?
‥いつ‥地下鉄に乗ったの‥だろう‥?
‥‥具合が‥悪くて気を‥失って‥しまった‥の?
‥‥何が‥どうなって‥いるのか‥わかりません‥‥
‥耳を澄まして‥周りを見てみると‥
‥人の気配や‥電車の揺れる‥音が聞こえる‥のですが
‥‥‥何かが‥おかしい‥です‥
‥周りにはたしかに‥人がいる‥のですが‥‥顔が見えないのです‥‥
‥勇気をだして‥声を出して‥みました‥が‥だれも返事を‥してくれま‥せん‥‥
たしかに‥電車に‥乗って‥地下鉄を‥進んでいる‥のに
‥何が‥どうな‥って‥いるのか‥わからない‥‥
‥そうだ‥今何時‥だろう‥と思い時計で時間を‥確認しようと‥しても
‥時計をしていないのに‥気づき‥ました‥‥。
なにか大事な‥用事があったような‥気がします‥誰か‥いませんか‥‥
‥気配は感じる‥のに‥あいからず‥だれも答えてくれません‥
‥‥体の具合が‥悪いのだろうか‥‥‥
漠然と‥そう思いながらも‥
‥さらに‥何か‥おかしい事に‥気づきました‥‥‥。
いつまで‥たっても‥‥駅に着く気配が‥‥ないの‥です‥‥。
声を出してだれか‥の反応を‥待っても‥
だれも‥答えてくれません‥‥目をつぶって‥‥いると
‥ふと‥視界が明るく‥‥なっていく‥‥感覚‥‥になり‥ました‥
‥‥やっと‥私が‥降りる駅に‥‥着いたみたい‥‥です‥‥。
駅名の‥‥標識を‥見ても‥目に見えなくても‥
‥はっきりと‥感じとること‥が‥できま‥す。
電車は‥停車し‥ドアが‥開き‥私は降りようと‥
‥立ち上がろうと‥しました‥‥が‥
‥足が‥動き‥ません‥
‥必死に‥動かそうとしてました‥が‥だめ‥‥した‥‥‥。
‥‥まぁ‥いい‥か‥次の‥駅で‥‥降りて‥折り返せば‥いいんだ‥‥と思い‥ながらも
‥長い‥長い‥次の駅までの‥‥時間‥を過ごす‥ことにしました‥‥。
でも‥だめなん‥です‥‥
いくら駅に‥つこうにも‥‥立ち上がることが‥‥できないの‥です‥。
‥‥何時間‥‥いや‥何十‥時間‥‥‥、
何日‥‥‥‥過ぎたで‥しょうか‥‥‥‥
‥漠然と‥私は‥理解‥‥‥しまし‥た‥‥‥。
‥私‥‥は‥‥‥死んで‥‥いるん‥‥だ‥‥‥‥。
‥‥そう‥だ‥‥‥、手下げバック‥‥に
‥手紙と鉛筆が‥入っている‥‥のに気が‥‥つき‥ました‥‥。
‥‥わたしは‥もう‥戻れない‥‥‥のでしょう‥
‥なので‥‥手紙を書く‥事に‥しまし‥た‥‥。
‥‥駅に‥停車したら‥‥ドアの外に‥向かって
‥便せんにいれた‥この‥手紙を‥‥投げれば‥‥誰か‥‥ポストに‥
‥入れて‥‥くれるかも‥‥しれません‥‥なので‥‥切手も‥貼って‥おきます‥ね‥‥
‥‥お母さん‥お元気で‥‥‥お父さんも‥ね‥‥、
スケジュール‥帳に‥七時‥駅前‥大橋さん‥‥そう‥だ‥思い出した‥‥
‥私は‥婚約者の‥大橋‥さんと‥
‥待ち合わせ‥していたの‥ね‥‥
‥でも‥もう‥遅いみたい‥‥‥
‥切手は‥一枚‥しかないので‥大橋‥さんにも‥よろしく‥ね‥
‥‥‥‥‥さよう‥なら‥‥‥‥‥‥‥‥
そこで手紙の内容は終了していました。
管理人の話では、今A子さん達が住んでいる部屋は
この手紙の送り主であろう
女性の両親が住んでいた部屋だったのです‥‥
‥20年前に書かれた‥?
であろうこの手紙が現実に届くなんて‥ありえません‥。
A子さんは図書館に走りました。
そして20年前の新聞を手当たりしだい読み漁り
そして発見しました。
20年前に千葉の某駅の入り口で
恋人と待ち合わせていたであろう女性が、
酔払い運転の暴走車にひき逃げされ、
ちょうど待ち合わせの時間に居合わせた彼が
すぐに救急車を呼んだのも空しく彼女は即死だったそうです‥‥。
A子さんはこの事故の件を管理人に話すと
この事件を知っていた管理人は
遠い目をしながらこう話したそうです。
この夫妻の娘は黒髪がとても綺麗で
腰近くまであるロングヘアーで、
漆黒のような黒髪もあいまって
「やまとなでしこ」という言葉がぴったりの
とても清楚できれいな女性だったそうで
両親も娘の結婚を楽しみにしていたそうです。
しかしこの事件で娘を失った○○夫妻は、
娘が死んだ土地にいるのはさすがにつらいという事で
夫の実家である地方の田舎に引っ越していったそうです。
現実に存在するはずもない手紙に
なんともいえない違和感を感じながらも、
いたたまれなくなったA子さんは
この手紙田舎にいる両親に送ろうかとも思いましたが
過去のつらい思い出をぶり返させてしまうのも忍びないと思い
あるお寺の住職に渡して供養してもらう事にしました。
お寺の住職に手紙を渡し終え、
心の中で手を合わせて女性の冥福を祈りました。
そしてA子さんは千葉に帰るために
地下鉄のホームで電車を待つことにしました。
時間帯がよかったのか待っている人はだれもおらず、
一人でベンチのような腰掛に座って
晩御飯のおかずどうしようなんて
たあいもない事を考えていると
地下鉄に列車が入ってくるのを知らせるアナウンスが鳴り響き
ゴゴゴゴーと列車がやってきました。
腰掛を離れ、誰もいないホームで黄色線に足を運ぶと
ふと階段方向から懐かしい声がしました。
声の主は学生時代の親友のN子でした。
しかしN子の顔色がなんとも優れないのです。
体の調子が悪いのかなぁと思いながらも
久しぶりの再会ということで、というより
N子の強い押しもあって電車には乗らず
駅の中にある喫茶店でお茶でも飲もうという事になりました。
懐かしさのあまり2人は時間がたつのも忘れて
卒業してからの事や付き合ってる男性の事などを話しました。
そして話題もつきるとA子は
不思議な手紙の件をN子に話しました。
するとただでさえないN子の顔色が
より一層真っ青になったのでした。
手紙の話しを聞いてしまったN子は
言える筈もありませんでした。
先ほど駅のホームで乗り口に進入してくる列車に向かって歩きだすA子の後ろに、
やけに古い服装をして腰まである黒髪の女が
鬼のような形相で、A子をホーム下に落とそうとしている姿を‥‥‥

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