ずぶ濡れのチー
2019/01/07
私がまだ5歳くらいのころ、
お祖母ちゃん家で飼っていた犬(チー)が死んだ。
途中ジステンバーにかかり
下半身不随になりながらも20年生きた。
最期は眠るように死んだらしいです。
お祖母ちゃんはとても大切にして可愛がっていたから、
とても悲しがっていたのを今でも覚えている。
チーの死骸は裏の庭に埋めたんだそうだ。
お墓の傍にはお花と、
大好きだったミカンを供えていたそうだ
(正確にはミカンの皮が好きだったw)
そして何ヶ月か過ぎて、悲しみも徐々に薄らぎ、
日常に戻ろうとしていたときのことだそうだ。
お祖母ちゃんが眠っていた時のこと、
その日はいつもと違った夢を見たそうな。
なんでも、お祖母ちゃんが
家の中で家事をしていたときのこと、
なんとその犬が玄関の戸をガラガラ、
と開けて帰ってきたのだ。
吃驚してお祖母ちゃんが駆け寄ってみると、
チーは全身びしょ濡れだった。
外を見てみても雨が降っているわけではない。
そんなチーはじっとお祖母ちゃんを見つめていたとか。
そこで目を覚ましたお祖母ちゃんは、
折角だから久しぶりに墓参りにでもいこう、
と思い、花を持って裏庭に出かけた。
お祖母ちゃんは墓の前まで来て、
「おや?」
と思った。
風か何かで倒されたのか、
花瓶が倒れているではないか。
しかもよく見ると、倒れた花瓶が丁度、
チーを埋めた場所に転がっているのだ。
中に入っていた水も全て、
その土の中に染みこんでいるらしかった。
きっとチーは、
この事を伝えたくて夢の中に出てきたんだろうねぇ、
冷たい水で濡れて気持ち悪かったんだろうねぇ、
と後にお祖母ちゃんは語ってくれました。