寝たきりで意識不明の患者さん
2019/01/03
介護士時代はやっぱり人の死に何回も直面してたんだけど、
その中でも興味深い死に方を1つ話させて。
もう何か月も寝たきりで意識不明の患者さんAさん(85歳ぐらい)の話。
何の病気だったか忘れたけど、
他の病院から当院に移ってきた時にはずっと意識無い状態で、
話せないし、食事なんかはもちろん寝返りすら自分でうてない人だったので、
結構お世話させてもらってた。
ある日、部屋の掃除に行った時、
Aさんが両手を頭の上に上げて何かパクパクいってる。
こんな動いたAさんを見たのは初めてだったのでびっくりして、
おれ「Aさん何してるの?」と尋ねてみた。
すると返答が返ってきて、
Aさん「今家族でブドウ狩りに来てるの。おいしぃわーぶどう」
と言って、
頭上にあるブドウをもぎ取り口に運んでいる。
よだれもでている。
その瞬間、
まさにAさんの脳内では完全にブドウ狩りを体験していた。
なんとなく表情もおだやかだった。
その2時間後Aさんが亡くなった。
おれが見たのは、
ゆっくりとした走馬灯のようなものだったんだと思う。