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スイカ割り

2018/12/31

夏休み。
友人のAは、
町内の子供会の役員をやっていた。
夏のイベントは、海水浴+バーベキュー。
小2の長男を連れて参加した。
彼はバーベキュー係。
楽しい昼飯も無事に終わり、
彼の役目も終了。
ビールを片手に寝転がっていた。
横では、丁度スイカ割が始まって、
自分の子供もそれに参加している所。
ウトウトしていた彼の耳に、
子供の声援が聞こえてくる。
「もっと右!」
「違う違う!」
大半の子供が失敗する中、
最初の子供が成功した。
「やった!」
「ギャー!」
目をつぶっている彼の耳に、
にぎやかな声。
しばらくすると、二個目。
「いいぞ!」
「ギャー!」
元気である。
そして三個目。
「そこだ!」
「ギャー!」
・・・・え、ギャー?
・・・それは声援というより、
女性の悲鳴に近い声。
それも子供の声には思えない。
彼は気になって目を開けた。
そこには楽しそうにしている子供がいるだけ。
悲鳴を上げそうな女性の姿は見えない。
不審に思っている所に、
最後の四個目のスイカに目がいった。
丁度狙いを定めた子供が割る所。
地面に置かれているスイカ。
・・・・いや、スイカじゃない!
少なくとも彼には、女性の生首に見えた。
子供の棒が振り下ろされる。
それは確実に生首にヒットした。
・・ぐしゃ!・・「ギャー!」
スイカが、いや首が、顔を歪ませ、悲鳴を発した。
つぶれ、二つに割れ、
中から赤い液体がほとばしる。
彼は立ち上がり子供達の方へ。
『なんて事をするんだ!』
そう叫ぼうと、もう一度スイカを見ると、
それはどこも不審な所のない、
ただのスイカになっていた。
彼は疲れているのだと、
自分に納得させて、ふたたび横になった。
そして、子供会も無事に終わった。
そして、それから数日が過ぎた。
彼は、あの日の事が気になって、
ちょっと調べてみた。
すると、数年前、
その海岸で女性が撲殺されていた事がわかった。
致命傷は、頭蓋骨陥没だったらしい。

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