隙間
2018/12/05
あたしの父の部下で、Dさんという方がいます。
地方から出てきたばっかりで、
若干なまりも残る純朴な青年だそうです。
そんなDさんがある日、
真っ青な顔で出勤してきたそうです。
あまりにも具合が悪そうなので、
父はDさんに体調が悪いのか、
とたずねたそうです。
するとDさんは
「信じてくれますか?」
と何度も繰り返した後に、
こう話したそうです。
Dさんの住むマンションは比較的新しい、
まあまあ綺麗なワンルーム。
引っ越しの片付けも終わり、
いつもの様に本棚の下に布団をしきました。
本棚の隣にはテレビ台とテレビがあり、
本棚と台には隙間があったそうです。
Dさんはちょうどその隙間に
頭がくる様な姿勢で眠りにつきました。
夜中にふっと目を覚ますと、
部屋中の空気が薄くなっていたそうです。
あまり気にせずDさんが眠ろうとすると、
小さな声で
・・・・聞こえるうう?・・・聞こえるううう?
という女の人の声が聞こえてきたそうです。
Dさんは必死で聞こえないふりをして、
寝返りをうちました。
すると、本棚とテレビ台の隙間から、
女の人がDさんをじっと見つめていたそうです。
それから朝まで、
片足の女の子が部屋中を走り回ったり、
窓から黒こげの人が覗いていたりで、
一睡もできなかったそうです。
まだ大家さんになにかあったのかを聞いてはいないそうですが、
盛り塩だけしてホテルで暮らすDさんは、
今でもあまり体調がよさそうではありません・・・・