夏の蒸し暑い夜
2018/12/03
ガキの頃、夏の蒸し暑い夜の出来事。
あまりに暑いので家族のものから、
アイスを買ってくるよう頼まれた。
当時、街灯もまばらな田舎に住んでいた俺は、
8時過ぎくらいに家を出て、
片道10分くらいの一本道を通って、町の雑貨屋に行った。
アイスを人数分買って帰り道に差し掛かったとき、
何とも嫌な空気を感じた。
たいして気にもせず家に向かうと、
突然背後から声をかけられた。
20代くらいの若い女性だった。
暗がりでよく見えないが、
髪が長く綺麗な感じだったのを覚えている。
「この道はどこへ続くのですか?」
そんなことを聞かれたと思う。
俺は歩きながらその人と話した。
別に怖くもなかったし、
子供だったのかたいした疑問や疑いもなかった。
しばらくすると、当然家の前に着いたので
「ボクんちここなんで」
と言って失礼した。
「ただいまー」
家に帰ると家族がカンカンに怒っている。
「今まで何してたんだ!もう12時過ぎだぞ!」
往復30分もかからない道なのに…。
暑い夏の夜、なぜかアイスは溶けてはいなかった。
もう30年も前の出来事だ。