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スリッパが無い

2018/11/30

私が体験した話。
中学の修学旅行で、京都に行った時のこと。
ある旅館(ホテルかも)に宿泊した。
そこはかなり大きくて、
高台に本館があり川か谷を挟んで別館が建っていました。
私達は別館の方に宿泊しました。
友人達と部屋に入り、
かなりこじんまりした簡素な部屋でした。
荷物を片付け部屋を出ようとしたら、
各自ではいてきた旅館のスリッパが一客ない。
あれ?っと思いながらそんなに気にせず、
フロントでスリッパをもらいました。
観光して帰ってきて、
玄関でスリッパを履き部屋に戻り、
また外出しようとするとスリッパがない。
そのうち友人の1人が
体調を崩し部屋に残ることに。
みんなで布団をひこうと押入れから布団を出し、
準備していた時、何気なく押し入れの天井を見ると
暗い中に何か書いてあることに気付いた。
暗がりに目を凝らして見ると、
それはかなりの数のお札だった。
部屋にもいくつかお札が有ったが、
私達はそれが異常なこととは気付かなかった。
(商売繁盛や交通安全の類と思い込んでいたので・・・)
「お札だ」
「本当だね」
ぐらいの会話で、体調不良の友人を残し
また観光に出かけることに。
スリッパが無い・・・
「またかよー」
っと言いつつ外出。
戻り、夕食の為食堂に・・・スリッパが・・・またかよ・・・
またフロントでスリッパをもらう時、
何気なくお札の事を仲居さんに聞いた。
「特には・・・」
と言った時、何となくあれ?っと思った。
今、目をそらした?
気のせいかな?
夕食から戻り風呂へ行こうとすると、
まただよ!スリッパ。
みんなで誰かがネタでやってるんじゃないかと、
互いに疑って面白がっていた。
本当に毎回、全員で外出しようと思うと一客ない。
いい加減、だんだんムカついてきて
「履いて出たらちゃんと履いて帰ってきてよ。迷惑だから!」
と注意した。
全員うなずいていた。
翌日も体調の悪い友人は回復せず、
1人残し観光に。
帰ってくると友人は寝ていたが、
気配で目をさました。
すると、
友人「あれ?今帰ったの?」
私達「そうだよ」
友人「?」
なんか腑に落ちないような感じ、
そこへ隣のクラスの子達が、
次の旅館へ移動の時間を知らせに来た。
そしてその時彼女達が言った
「この部屋お札がある」
彼女達の部屋には無いらしい、
ついでに押し入れも見せた。
「なんかおかしいよー」
と彼女達が言うので、
おかしい話ついでにスリッパの件を話した。
いまいちネタじゃないかと疑って信じない。
なので、私達は実際に履いて見せることにした。
すると、今度は・・・スリッパが一客・・・余った。
あれ・・・?
おかしいね・・・?
と私達は笑っていたら、隣クラスの彼女達は無言。
やっぱネタだと思っているなぁっと、
ちょっとガッカリ気分でいたら
彼女達の1人が言った
「ってことは、今、いるってこと」
「え?」
「だっていつもは無いってことは、
先に『誰か』が出てってるんだよね」
「でも、いま、あるってことは、
この部屋に『誰か』が『いる』ってことでしょ!?」
一瞬みんなで目が合い、
誰も居ないはずの部屋を見て息が詰まった。
そして一斉に
「ぎゃー」
って叫んで一目散に逃げた。
その後、荷物をまとめにおそるおそる戻った。
また、スリッパの数が合わないと怖いので、
全員スリッパなしで戻った。
ちなみに、体調不良で寝ていた彼女は曰く
「私の布団の周りをすり足でぐるぐる回っている音がした。
誰か帰ってきたのかと思ってた。コワ!」

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