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ワンピースの女性

2018/11/15

去年の三月、実家より高速バスでの帰宅をする弟を
池袋に迎えに行くために
ダンナと車で千某ヶ谷トンネルを通りました。
もともとそこがトンネルなどとは、
まったく予備知識も無く、
運転席にダンナ、助手席に私が座り、
車は池袋へと進んでいました。
夜の十時を回ったくらいでしょうか。
某スタジオを過ぎてガード内に差し掛かるあたりで、
地図を見ていた私が顔を上げると、
ガード真中あたりに白いワンピースを着た女の人が
歩いているのが映りました。
まだ時間も時間だったし、
駅も近いので大して気にもとめてなかったのですが、
車がガード内に入りその女の人を見たあたりに差し掛かると、
その女性のいたあたり(助手席の左ドア側)から
異様な寒気が左手側から首に向かって上がってくるのを感じ、
それと同時に何か分からない恐怖感がつき上げてきて、
なにがどう怖いか自分でもわからない内に、
私は『きゃ~』という恐怖の悲鳴をあげていました。
ダンナがその悲鳴にびっくりして、
『どうかしたの?』と聞いたそのとき、
私とダンナを前方からひんやりした目に見えない、
こんにゃくのような感覚をしたものが
『ずむっ』とゆっくり突き抜けて通り過ぎていきました。
トンネルを出た瞬間、ダンナと私は顔を見合わせ
『今のなんだったの?』
と言いました。
トンネルを出た後、車内はヒーターがかかっていたにもかかわらず
異様に冷え、私がかちかちと震えるほどでした。
それが何だったのか、今だ分かりません。
(そもそもダンナは女性を見ていないのです)が、
ふと思い出すとトンネルを入るときに見たワンピースの女性、
いまだになぜ女性と分かったのか不思議なのです。
顔を見ていなくて後姿とずっと思っていたのですが、
よくよく思い出すと、
顔と体の向きが逆だった気がするのです。
私たち夫婦は昼も夜も、そこは通らないようにしています。

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