ある漁師の話
2018/11/13
漁師をしてた爺さんから聞いた話。
爺さんが若い頃、
夜遅く浜辺近くを歩いていると、
海のほうから何人かの子供の声が聞こえてきた。
こんな夜遅くに、一体何だ?
と思い声のする方を見つめても暗くてよく見えない。
不思議に思いながらもその日は家に帰った。
何日かして夜遅くに浜辺近くを通ると
また海のほうから子供の声が聞こえてくる。
爺さんは浜辺に降りて、
声のする方をじっと目をこらして見た。
暗くてはっきりとは見えないが、
声のする方に小さい船があるようだ。
人の姿は見えない。
あの船に子供がいるのか…………?。
不気味に感じた爺さんは、父親にそのこと聞いた。
父親はしばらく押し黙り、ある漁師の話を始めた。
男はこの村に住んでいた。
貝などを採って暮らしていたが
その漁の仕方が変わってた。
貧しい家の子を預かり。
その子供たちを連れて漁に行く。
子供が逃げないように鵜飼いの様に
子供の首に紐をくくりつけ海に潜らせて、
貝などを捕らせた。
男は冷酷で、なにも採らずに上がってきた者や
疲れて泳げなくなってる者は棒で容赦なく殴りつける。
過酷で厳しかったため何人も子供が亡くなった。
ある日、男はいつものように
子供たちと漁にでかけそしてそのまま
帰って来なかった。
死んだ子供たちに祟られたんだろうという噂が流れた。
それ以来、夜になると
子供たちの声と誰も乗っていない小舟が
現れるようになったそうだ。