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赤い毛布

2018/11/09

昭和10年代のことである。
ある夜の10時頃、福井県のとある民家に、一人の男が現れた。
来客かと思い家の主人が玄関に行くと、
頭から赤い毛布を被り、本家の提灯をもった男がいた。
暗いのもあって、顔は見えない。
男は言った。
「本家で急病人が出ました。急いで来て下さい」
驚いた主人はすぐに男と出て行った。
2時間程のち、残された妻が二人の子供を寝かせていると、
再び戸を叩く音がする。
出ると、先ほどの男であった。
「病人は明日の朝までもちそうもありませぬ。旦那様が奥さんをお呼びです」
妻は、これは大変、と子供を隣家に預け、男と共に出て行った。
さて再び2時間程のち、今度は隣家の戸を叩く音がする。
その家の妻が出てみると、やはり赤い毛布を被った男がいた。
男は言った。
「ふたりが子供を読んできて欲しいと言っていますので、子供を出して下さい」
しかし隣家の妻は答えた。
「もう夜更けです。二人ともよく寝てますし明日でもいいじゃありませんか」
男は、親が呼んでいるから、と頼んだが、結局断られ、去っていった。
翌日、近くの橋のたもとで、斧で惨殺された夫妻が発見された。
男の行方は、今も知れない。

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