ひなびた温泉宿
2018/10/24
旅行系の雑誌のカメラマンをやって暮らしています。
で、取材で某東北の旅館に行ったんです。
「お花見特集 泊まるならこの旅館」
みたいなやつ。
取材兼宿泊先はあまり知られていないひなびた温泉宿。
別館みたいな部屋に泊まったんです。
渡り廊下で本館に行ける部屋。
編集者とバイトの子と3人打ちで深夜マージャンしててビール買いに本館まで、まあ何だかんだで私が行く事になった。
で、部屋を出たら何かおかしい。
渡り廊下がすっごい長く見える。
100メートルくらいはある。
んな筈無い。
夕方見た時はせいぜい20メートルくらい。
酔ってんのかな?と思いながら歩いていたら変な感じがする。
浴衣の裾がひっかかる。
まくしあげて歩いたけど何か変。
何だぁ?と思って見たら
裾に小さいおばあちゃんがニコニコニコニコニコニコしてぶら下がってる。
髪を短く切りそろえた和服着た50センチくらいのおばあちゃん。
血の気が引いて前だけを見てダッシュで部屋に戻った。
今自分に何がおきてるとか考えないようにして走って戻った。
部屋に戻ったら残ってた二人が部屋の隅に固まってる。
その時は不思議にも思わないで、安堵感と興奮と恐怖でオレオレオレいまいまみちゃったとかうわずりつつ話してたら編集者が、今ここにも出たんだよ、っていう。
俺が出ていってすぐにフスマが少ぉしだけ開いたんだって。は?と思って見たら、小さい子供がニコニコニコニコ覗き込んでる。
ここの子?って聞いた瞬間、ものすごく低いオッサンみたいな声で「ウルセエ」って言うと、首がガガガガガガガガって震えて天井まで凄い速さであがっていったんだって。
バイトくんいわく外から見えるエレベーターをはや回しで見てるみたいだった、と。
本当に怖かったけど、一番怖いのはその旅館、巻頭特集で掲載する事。
もしそこに泊まって変なモノ見た人いたらゴメンナサイ。