謎の声
2018/10/19
俺が以前TVのアシスタントやってた時の事
あるニュースの資料用映像を撮りにK市へ行った時の事だ
その日は穏やかな晴天の日、俺とカメラマンさんの二人での撮影だったので何事も無く、順調に撮影は進んだ
午後の4時頃一つめの違和感が起きた
至って何も変わらない小さな公園…
でも、なんか変だった。
異様に寒いしなんか見られてる気がした(TVが来てるよっていう視線じゃなく、なんか睨まれてる感じ)
それ以外は何も無く、撮影は進んだ
日が落ち、ある田畑の農業用水路を撮影した時に2つ目の違和感と何かが聞こえた、ような気がした
実際その場は山に近いから木々の揺れる音なんだろうと思った
撮影からしばらくして異変が起きた
バッテリーライトがいきなり落ちた
電球が切れたか、バッテリー切れなのかわからず、直ぐに電球をチェックしバッテリーを予備に換えた。
だがまたライトが消えた。
おかしい、有り得ないはず。
連続点灯で30分は点くはずのライトが僅か3分で落ちたのだ
確かに局でチェックした時はフルの状態だった。
なんだか気味が悪くなりカメラマンと相談した
『必要な映像は撮ってあるし、ライトが点かないんじゃあ仕方がない、時間も時間だから局に帰ろう』
と、なり局に戻った
機材庫で機材故障の報告書を書こうと思い、ライトをバッテリーパックに繋げると、なんと点灯したのだ、それも2つ共
正に(;゜Д゜)ハァッ!?となり、カメラマンに言うと同じ反応
急いでバッテリーチェックすると、メインバッテリーは半分まで減っており、予備に至っては、ほぼ満タン状態
アレはなんだろうか…
と思いつつ、俺は編集室で撮影してきたテープのチェックをしてみた
日中の映像にはなんの問題はなかったが、例の日が落ちた時の撮影映像に問題があった
ライトが付き、カメラが用水路に近付くと、いきなりライトが消えた。
俺とカメラマンの会話が聞こえた
だが、なんか聞こえる。
木々でも水の音でもない。
俺は音量を上げてそのライト消えた場面から再生した。
聞こえた…
『ぅぅぅ…ぁぁぁぅゥゥ…』
血の気が引き、鳥肌が立った
低い声、性別やらなんかは解らないが、人のうめき声だった
有り得ないはず。
周りに人はいなかったはず。
居ても声出さないで下さいってお願いはするし
だが、ソレは現実に入っていた
画面を見るとライトが点いていた予備のバッテリーに代えたライトの光りだ
そして同じような所でまた消えた。
そして又うめき声と、小さく
『…カ・・エ・レ・・・』
映像はそこでおしまい
直ぐにカメラマンと担当記者、デスクを呼んで問題映像を見てもらった
皆絶句だったのは言うまでもなく、固まってしまった。
暫くしてデスクは
『音声は使わないが気味が悪い』
と言い、後日、日中で撮影してくる事になった
取材予定を決めた後、
『これは、あんまり他の人に言わないほうがいい』
という釘を刺され解散した
その後祟りとか心配したが、問題なく、体調も良好だった。
後日談としては、後日撮影の時に記者も時間が取れて同行、その時に真実を知った
問題が起きたあの場所、実は用水路にはまり高齢の方が溺死した場所だった
TVの撮影で極稀にこういう事はあるらしいが、当事者としては、色々な意味で笑えなかった出来事だった