首刈り婆さん
2018/09/13
首狩り婆さんの話
この婆さんは、家の玄関から自分の部屋までの扉を順にノックしてくる。
トントン、トントン、と。
玄関、リビングの入り口、自分の部屋の扉、といった風に。
引き戸でも同様にノックしてくるらしい。
最後は自分のいる場所から一番近い扉がノックされた時。
婆が入ってきてしまうと、首を持っていかれる。
この回避法は一つ。
どこかの扉をノックされた時、その音に気づき
「婆去れ、婆去れ」
と連呼する。
それで「次の人」に行くらしい。
音に気づいていないと意味はなくて、音に気づいた上で婆去れと言わないといけない。
扉を開けてしまった場合。
向こう側に吸い込まれるとか。
玄関が開いていて、自分の部屋の扉も開いている。
つまり玄関から直通している場合はそのままノックなしに入ってきてしまうそうな。
これを聞いた人、見た人は3日後にあなたの部屋に婆が訪れるだろう
とまあ、そんな話を聞いた。
怖いものが好きな俺でも、3日後に来るとなればやっぱ身構えるわけですよ。
そして3日後。
玄関が。
コンコン。
「はーい、どちら様でしょうか~」
あの話を覚えていたのでインターホンで応答した。
返事はない。
ドアは開けたくなかったんで放置。
俺は自分の部屋に戻って、2chを見てた。
30分くらいしてから・・。
リビングの入り口の扉が
ガンガンガン!
と叩かれた。
弟がリビングにいたんで、
「何してんの?」
と聞いてみる。
「何も?」
と返してきた。
「何かガンガンなってなかった?」
「いや?」
やばい、婆去れいっときゃよかった。
あと俺の部屋じゃん!?
俺の部屋は引き戸だったんだけど、立て付けが悪いのかなかなか閉まらないんで開けっぱなしになってた。
閉めようとしても閉まらない。
俺は諦めてベッドで寝転がってた。
そして5分くらいして・・
窓がコンコンとなる。
カーテン閉まってるけど、窓全開で網戸だしここ2階だしベランダないし。
俺は
「婆去れ、婆去れ」
を連呼。
結果、何も来ないで済んだ。
カーテンを開けてみると、網戸が外れて落ちてた。
この話を聞いた友達はほかに3人。
メールしても電話しても繋がりません。