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曇りガラス

2018/08/28

高校時代、仲間6人で海水浴に行き、海岸沿いの民宿に泊まった時の話です。
そこはシーズン中だけ民宿を営んでいるような、見た目は全く普通の民家でした。
期間は2泊3日、カップル2組と男2人で、男女の人数は合いませんが、いわゆる仲良しメンバーでした。
ちなみに私は男2人の方の1人です。
1日目は朝から晩まで遊び、疲れもあってすぐに寝てしまいました。
2日目も朝から海に出たのですが、2人が前日から日焼けし過ぎてダウンしてしまい、午後の早い時間から宿で休むことになりました。
トランプをしたり昼寝をしたり、散歩がてら買い出しに行ったり、それはそれでくつろいだ楽しい時間を過ごしました。夜になり、入浴と夕食の後、前日できなかった宴会(?)をすることになりました。(未成年でしたが、みんな普通に飲みますよね)
大騒ぎの楽しい時間を過ごしましたが、他の客もいるからと、宿の主人に注意され、その後はまったり飲んでいました。
1人2人と寝ていき、全員が寝たのはそう遅くなかったと思います。
時計は見ませんでしたが、夜中だったと思います。
トイレに行きたくなり目が覚めました。
疲れと酔いで重いまぶたを無理に開け、部屋を出てすぐ左にあるトイレに向かいました。
眠気が優先して、特別怖さは感じません。
普通の家庭用の洋式トイレで、入り口のドアには四角い小さな曇りガラスがはめ込まれています。
ドアを開けると正面が便器で、つまり後ろがドアになります。
鍵を閉め、便座を上げ、用を足します。
酒を飲んでいただけに長いです。
そして、水を流した、その瞬間です。
ガタガタガタガタ……!!
ドアが揺れました。
とっさにドアを見ると、そこには、巨大な目が覗いていたのです。
覗いていると言うより、押しつけているような、曇りガラスなのにくっきりと、白目がやけに白すぎる、
ガラスいっぱいの巨大な片目がこちらを見ていました。(後で思ったのですが、まぶたもあったので巨大な顔だったのかもしれません)
ショックで息ができなくなった事まで覚えています。
気がつくと朝でした。
トイレの鍵はかかったまま、私も当然倒れたままでした。
思い出して再び恐怖に襲われつつ、急いで部屋に戻りました。
早朝と呼ぶには遅く、それでも朝食前の時間でした。
ふるえる肩を自分で押さえつつ、一番仲のよかった友達を起こし、とにかく気分を落ち着かせ、事情を話しました。
酒のせいだと言われ信じてもらえませんでしたが、その時は1人じゃないだけで助かりました。
朝食を取り体が温まるとだいぶ落ち着き、自分でも酒のせいだと思えるようになってきました。
もともと霊など見たことなかったし、何より早く忘れたかったのです。
3日目の午前中も海で遊び、帰途につきました。
その後は何も見ることはありませんが、曇りガラスは今でも苦手です。
また何時、あの生気のない、巨大な目が現れるかと思うと……

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