願い
2018/08/23
かくれんぼトイレ学校行方不明足音都会白い服秘密基地美術室話し声不気味
私が小学4年生の頃の出来事です。
都会に住んでいたのですが学校でいじめられていたので、引越しをして別の学校に行くことになりました。
引越し先の学校は学年が違う人たちが1クラスにまとまっていました。
クラスは私をいれて4人しかいませんでした。
初めてクラスのみんなに会って、みんな良い人だったので嬉しかったです。
次の日みんなの様子がおかしかったです。
授業中みんな「クスクス」と笑っていて不気味でした。
お母さんに言っても
「そう…。」
としか答えてくれませんでした。
その日ベットに入ってウトウトしていたら、お母さんの話し声が聞こえました。
「今度も駄目みたいね…。やっぱりちゃんとした所に行かせた方がいいのかしら…。」
私は何のことか分かりませんでした。
次の日から、私は前の学校と同じようないじめを受けました。
私がトイレに入った時は、いつもドタドタと足音を立てて入ってくるし、私が学校から帰る時はみんな窓から私を見て変な声で笑ってきます。
先生に相談しても、ずっとずっといじめられていました。
クラスのみんなはよく「遊ぼう!」と誘ってくれるけど、遊んでも私を見て笑ってきます。
最初の方が嫌々遊んでいたけれど一緒に遊んでも楽しくないし、いじめられるので誘ってきても断っていました。
それでも学校に行くのは一人だけ私のことをいじめない子がいたからです。
その子は恵那ちゃんって名前でした。
恵那ちゃんは私がいじめられた後よく話しかけてくれます。
「あなたは悪くないわ。みんなが悪い。いじめられるのはみんなが悪いからよ。あなたは悪くないよ。」
私がみんなにいじめられても励ましてくれます。
「みんなが悪いんだよ。」
と。
私は一人で散歩に出かけるのが好きでした。
その日は学校の近くの山に行こうと思いました。
先生からは
「山には入るな。」
と言われていたけど、私は人と会うのが苦手だったので人がいない山に惹かれていました。
山は道が無くて歩きにくかったです。
昼間でも薄暗くて怖かったです。
少し歩くとぼろぼろの木の小屋がありました。
中に入ってみると、中もやっぱりぼろぼろでした。
私はこの小屋を秘密基地にしようと思いました。
次の日からほぼ毎日、山の小屋に行きました。
小屋の中で私はよく絵を描きました。
引っ越す前から絵を描くのが好きでした。
絵を描いてるときは変な事をしてくる人がいないから。
授業が終わってみんなが帰った後、5年生の由佳ちゃんが話かけてきました。
「ちょっと見せたいものがあるんだ。付き合ってよ。」
私は嫌でしたが断るともっとひどい事をされるかもしれないと思ったので、ついていきました。
学校の中を歩いて行き美術室の前で由佳ちゃんは止まりました。
「この中に見せたいものがあるんだ。」
私は美術室何かに何があるんだろうと思って部屋にはいりました。
美術室は他の部屋とあまり変わらず、スケッチ用の紙が何枚かおいてあるだけでした。
「何があるの?」
と聞いて振り返った時、美術室の扉が閉まりました。
「ここからでちゃ駄目よ。」
そう言って、由佳ちゃんはいなくなりました。
私は怖くなって部屋を出ようとしましたが扉は開きませんでした。
鍵はついてなかったはずなんですが扉は開きませんでした。
私は
「助けて、助けて。」
と叫びましたが、私の声が響いて返ってくるだけでした。
外も部屋も暗くて前がよく見えませんでした。
朝明るくなってきた頃、先生とお母さんが入ってきて私を見つけてくれました。
私はお母さんに抱かれて部屋を出て行くときに美術室の中が目に入りました。
美術室のスケッチ用の紙・黒板・机によくわからないものが描かれていたのが見えました。
人間のように見えるけど人間じゃない。
手が何本も生えていて、顔には赤いぶつぶつができていて、とても人間には見えなかったです。
私はお母さんに昨日の事を言っても、お母さんは泣いているだけで何も言ってくれませんでした。
その日からお母さんが変になっていきました。
私が部屋にいる時は、気味の悪い声をあげて笑い、私の部屋の扉を勢いよく閉めていきます。
私がご飯を食べている時は、いつも「ゲエゲエ」と気持ちの悪い声を出しながら歯を磨きます。
いつもいつもです。
お母さんがお母さんじゃなくなりました。
私の味方はもう恵那ちゃんしかいませんでした。
恵那ちゃんは、
「あなたは悪くないわ。お母さんが悪いのよ。」
と励ましてくれます。
私はまた引っ越す事になりました。
先生とクラスのみんながお別れ会をしてくれましたが、みんな不気味な声で笑っているだけでとても怖かったです。
引越しをする前日に恵那ちゃんが話しかけてきました。
「このまま仕返しもしないで、引越していいの?何か仕返しをしよう。」
そう言って仕返しの方法を教えてくれました。
私は由佳ちゃんとクラスのいつも不気味に笑っている二人を山の入り口に呼びました。
「ねぇ、最後に一緒に遊んでくれる?」
と私は誘いました。
「いいけど、山で遊ぶの?ここは入っちゃ駄目なんだよ」
由佳ちゃんが言いました。
「この山でね、かくれんぼをして最後の一人になるまで見つからなければお願いが叶うんだよ。私、鬼になるからみんな隠れてよ。」
「でも、ここ暗いし、迷ったらどうするの?」
「私、この山でよく遊んでるから道知ってるし大丈夫だよ。ね、やろうよ。」
みんな暗い山の中に入っていきました
気分が良くなったので絵を描きたくなりました。
私は探すフリをして小屋に行き絵を描きました。
不安げな動きがしても気づかぬフリをして歩いていきました。
真夜中の山で怯えてしまえばいい。
一晩中寝られずにいればいい。
消えてしまえ。
私は家に帰り、いい気分で眠りにつきました。
由佳ちゃんが行方不明になりました。
お母さんは私をひどく叱りました。
私は悪くないのに。
その後は引越しはしませんでした。
ずっと白い家に住んでいます。
誰かがドアを開けて入ってきました。
その人は白い服を着ていて、一枚の絵を持っていました。
その絵は、とてもカラフルな絵でした。
中央に手足みたいなものが何本もあるような絵が描かれていて、その回りにぐちゃぐちゃな物が3個ありました。
白い服を着た人がしゃべりかけてきました。
「こんにちは。願い叶ったよ」
と。
よく分かりませんでした。