背中の気配
2018/08/17
2,3年前に友達と肝試しに行ったんです。
場所はリゾート地にバブルの時建てられ、今は廃墟となっているホテル。
私らは5人ばかしでそのホテルへ向かいました。
初めのうちは皆余裕でしたが、実際ホテルの前に立ってみるとその暗さ、大きさ、静けさにビビリまくっていました。
中に入る時誰も先頭に立ちたがらなかったので仕方なく私が名乗りを上げました。
でも正直なところ、
「結局出る時も先頭なわけだから。入る時の先頭より出る時の最後尾の方が怖いよなぁ」
との考えがありました。
黙っていてもし最後尾になったら_というわけです。
流石に怖いから真ん中にしてくれとも言えませんしw
それで私を先頭にホテルの中に入ったんですが、そこはもう肝試しには最適とも言える場所で、1階の床は抜けてプールみたいになってるし、かび臭いし、どこかでピチャピチャ聞こえるような。
皆「うわー怖えーよ」
とか言いながら楽しんでたんですが、水のある場所を避け細い通路に入った時、友達の一人が急に帰ろうとか言い出しました。
そいつは前から霊感があるとか言ってたんですが、私はあまり信じていませんでした。
でも顔真っ青だし汗びっしょりだし、流石にやばいなと思ったんですが、こんな肝試し(このトラブルも含めて)は二度とないな!と思いそいつは放っておいて先に進もうとしたのですが、他のやつらがもう戦意喪失で。もう帰ろうという事に。
ここで最初の目論見は崩れました。
皆がいっせいに回れ右したんです。
んで最後尾は結局私になりました。
暗闇で後ろにだれもいない、ということで私は急に怖くなって早くここを出たくなり、
「さ、早く出ようか!」
と言って歩き出した瞬間
『ポン』
て誰かが私の肩をたたきました。
あんまりにびっくりして
「ひぃっ」
という情けない声を上げてしまいました。
皆も私の声にびっくりして急に走り出しました。
私も置いていかれないように後を必死で追いかけたんですが、背中になにかが追ってくる気配と首筋に生暖かいものを感じてもう完全にパニック状態だったのを覚えています。
いろんなところにぶつかりながら、一気にコンビニまで逃げ帰りました。
そこで皆が私を問い詰めましたが、私はあの怖い体験を信じたくないのともしかしたら勘違いかも?と思ったのとで
「あーみんなびっくりした?」
と狂言を装い、まあ当然のごとく非難の集中砲火を浴びましたw
それでしばらくはその出来事は忘れてたんですが、その後あの肝試しの夜を思い出させる体験をしたんです。
ある晩、私は友達の家に遊びに行き帰りが遅くなりました。
早く帰りたかったので普段は通らない近道をしたんですが、そこは昼間でも暗く、車もあまり通らない道なので普段は誰も使わない道でした。
真っ暗で人家もないし怖いなあと思いつつ歩いていると後ろからヒタヒタと誰かの足音がついて来ました。
怖いなと思いつつ足を速めると、足音の方もそれにつれて速くなります。
そこで私は足を止めてみるとついてくる足音もやみました。
「なんだ。周りの林に俺の足音が反響してたのか」
と安心して歩き出そうとした瞬間、
『ポン』
て肩をたたかれたんです。
前の肝試しのことを思い出してしまって私はまたしてもパニック状態で家まで逃げ帰ったんですが、その時も背中に気配を感じて気持ち悪かったことを覚えています。