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祖父の予感

2018/07/26

自分が高2の時の事です。
当時、祖父母両親自分の五人家族で、祖母は70歳過ぎでも自分の小遣い稼ぎと趣味の踊りの稽古代の為に競馬場、競艇場の売店で売り子をしてて、アウトドア派な人でした。
9月のある日、祖母はいつものように早朝仕事にでました。
自分含め家族もちろん全員寝てたんですが、7時頃かな?
祖父が両親と寝てる二階に上がってきたんです。(二世帯で二階両親&自分で一階に祖父母が住んでて、滅多な事ない限り祖父母が二階に来る事はありませんでした。)
真っ先に自分のとこ来るなり、
「婆さんどこいった!!??」
家族皆祖母が仕事の日な事は分かってたんで、
「仕事行ってんじゃないの?部活の試合あんだからも少し寝かしてよ!」
「違う!仕事に行ってない!何かあったんだ!頼むから近所を探しに行くからついてきてくれ!」
当時全くボケてもおらず、むしろ怒ると怖い祖父だったが流石に真剣に相手にしないでいると、何事かと起きてきた両親にも探しに行くように詰め寄ってきたが、父は、
「もう少ししたら婆さんの仕事場に電話するから落ち着きなよ」
と諭したが、祖父はもういい!と一人で家を飛び出して行きました。
尋常じゃない祖父の様子が気になってはいましたが、母は朝食を作り出し自分は試合の準備を、父は仕事の準備をし終わった後に祖母の職場に電話しました。
「朝早くにすいません。○○ですが、うちの婆さん出勤してますよね?」
「あっ○○さんですか?丁度連絡しようと思ってたんですよ。××(祖母)さんまだ来てなくて。今まで遅刻欠勤なかったから心配してたんですが。」
「来てないですか?!わかりました。。時間通り出てるはずなんですが、、もし出勤したら連絡するように伝えてもらえますか?!」
このやりとりが終わって本当にすぐ祖父が帰ってきて、
「どうだ?!仕事に行ってないだろ!!だから言ったんだ!何かあったんだ!もう一度探してくる!」
で、出ていこうとする祖父を止めて連絡が入るのを待とうと自分が説得してると、それも本当に丁度、家の電話が鳴りました。
「○○さんのお宅ですか?私、△△病院救急の者ですが××さんはご家族で間違いないでしょうか?落ち着いて聞いて欲しいのですが、一時間程前に交通事故にあわれ、こちらに搬送されています。まだ息のある状態です。至急こちらにお越し下さい」
この知らせを父が聞きパニック状態になってしまい、病院へは母と自分、祖父と行こうとしましたが、祖父は、
「もう遅い、、、挨拶も出来んかったなぁ、、、」
といい、病院へは行かないといいます。
「まだ息があるって言ったじゃないか!早く一緒に行こうよ!」
と言いましたが、
「だから、朝嫌な予感がしたんだ。もうだめだよ。今、行ってしまったんだよ」
母はしょうがないから取り敢えず二人で行こうと車で病院に向かいました。
救急窓口に行き病室に行きました。
ですが時既に遅く、本当にドラマのように顔に白い布をかぶされた祖母が横たわってました。
布をどかすと祖母は本当に寝てるような顔をしていて、起こせば返事してくれそうな、そんな顔でした。
五分後でしょうか、搬送時担当して頂いた医師が来て話をしてくれました。
「××さんのご家族ですね?せめてご家族が来るまではなんとか持たせたかったんですが、、、丁度ご連絡をして間もなくお亡くなりになりました。」
母は泣き崩れ、自分は涙もでずこれは夢だと現実を否定し続けました。
暫くして泣き崩れていた母が、なぜか自分の試合を心配しはじめ、
「どうせ家にいてもあんたに出来る事はないよ。今日は大事な公式戦なんでしょ?送るから行きなさい。」
こんな気持ちでどうしろと?と思っていたが、確かに母の言う通りだし、何かしてないと押し潰されそうな状況だった。
顧問にだけ今日の出来事を伝え、チームメイトには伝えず試合に望みました。
正直試合の記憶はありませんでした。
奇しくも公式戦初勝利でチームが喜びの中、自分は打ち上げに行かず、車で観戦に来ていたOBに家まで送ってもらいました。
車の中では試合の事はすっかり忘れ祖母との思い出にひたっていましたが、ここにきて朝の祖父の一連の行動に疑問が浮かんできてもいました。
家に着き居間に行くと親戚が集まっていて、隣の寝室には祖母が帰ってきていました。
決して起きてはくれない事はやはり、朝の出来事に間違いないことを証明していました。
さて帰宅の途中湧いたその疑問を解消すべく祖父に問いつめようとしましたが、祖父は来客の相手に忙しく、話が出来る雰囲気ではなかったです。(親戚も多く本家の為、お客が途切れる事がありませんでした)
ただ、朝あれだけ取り乱していた祖父なのに来客の方には笑って、気さくに対応していたのが印象的でした。
余談ですが、祖母が事故にあったのは家の真ん前でした。
幹線道路に面していて横断歩道も確かに歩かないと近くにないため、信号もない所を渡ろうとしたその時、居眠りをしていた120キロの車に跳ねられました。
当然救急車をよびましたが早朝なのでサイレンを鳴らさなかった結果、すぐそこにあった家族の事故に誰も気付けないでいました。
さて、通夜を翌日に控えなんて名前の風習かは忘れましたが、1日蝋燭の火を絶やさず寝ずの番を任された自分と祖父は祖母を真ん中に川の字に布団をひき、休みながら見張る事に。
ここで自分は、昼抱いた疑問を祖父にぶつけてみました。
「朝、すごい剣幕だったけど何か感じたの?」
「朝起きて散歩行こうとして、婆さんがいないのがおかしかった。今考えれば仕事でいないのは当然なんだがなんでだろうな。いてもたってもいられなかったんだが、病院から電話があった時、自分の中からなにかがすっと抜けた感じがした。その時、もう間に合わない事がわかってしまった」
話は変わるが、はためから見て祖母と祖父は仲が良いとはとても思えなかった。
父から聞いた話では博打の所為で土地も9割手放したし、伊豆やら仙台に愛人がいて、代々の大工家系で腕はいいが飽き症で。
ことあるごとに愛人のとこに逃げ込んだ祖父を祖母が連れて帰る事が度々あったそうで、祖母は母には今のように離婚してもいい時代が羨ましいと、毎夜愚痴をこぼしてたそうです。
そうはいっても50年連れ添った二人には他人には解らない絆があったんでしょうか。
さて、祖父との話も途切れた頃、
「今日試合だったんだろ?火は俺が見てるから疲れてるだろうからもう寝なさい」
との一言で、自分は疲れていた事を思い出したかのようで間もなく寝てしまいました。
寝入ってからどれぐらい経ったか解りませんが、近くからの話声が気になって目が覚めてしまいました。
何やらすぐそこで会話が聞こえるのです。
祖母に対して背中を向けていたので体は起こさず、耳だけ傾けましたがどうも様子がおかしんです。
祖父が独り言を言ってるようにも聞こえんですが、相槌も交じっていてるんです。
「あそこまだ行ってなかったなぁ。んっ?そうだなぁそんな事あったなぁそうそう、あの時はすまなかったなぁ」
祖父の声しか聞こえてきませんでしたが、祖母と会話してるんかなぁと思い、なぜかこみあげるものがあり声には出さずただただ涙。
後ろを向けば自分も交えて話せるかなとも思いましたが、あまりに野暮だなと思い振り向けませんでした。
やがて15分程経った頃また深い眠りに入っていました。
翌日起きて祖父の顔を見ると目が尋常じゃなくはれてたので、昨日の事を聞いてみると、知らん!の一点張り。
意地悪にもなんで目がはれてるのか聞いたら、この上なく怒られました。
周りの評判はとにかく自分はこんな祖父が大好きでした。
昔気質で頑固で、自分に正直で。
祖父もその3年後亡くなりましたが最期まであの夜の事は教えてくれませんでした。

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