祖母の霊
2018/07/18
洒落にならないな・・・と今でも思うのが、身内の霊の話。
祖母が他界したのはもう20年前になるが、その数日後に、叔母のところに祖母が現れたという。
叔母は、いわゆるキャリアウーマン人生を選択した女性で、会社勤めの一人暮らし。
独居にて、夜は和室に布団を敷いて寝る。
その和室からまっすぐ伸びた廊下の突き当たりが玄関。
玄関の明かりだけはいつも一晩中つけっ放しだったそうだ。
その晩、叔母は何故か寝室の障子をわずかに開けて寝入り、夜中目を覚ますと足元に明かりがあった。
「あ、そうか、障子開けっ放しで。玄関の明かりが入って来てるんだ」
・・・と。
これはその通りだったが、ふとその足元に目をやると、玄関の明かりの色合いがいつもの色と異なり何となく青白い。
あれ、と思い起き上がって金縛りになった。
布団の上に上体を起こしたかっこうで叔母は固まった。
玄関に祖母が立っていたのだ。
祖母は、一直線の廊下を、すーっと叔母のほうへ近付き、
自分が祖父(夫)より先に逝くのでひどく心配である、祖父のことをどうか宜しく頼む
と何度も手を合わせて叔母に頭を下げたという。
叔母は金縛りながらぼろぼろ涙を流し、
「大丈夫、お母さん、大丈夫、お父さんのことは私が全部面倒見るから」
と答えた。
すると、祖母は安心したのか、またすーっと後方(玄関)に後退し、そして、玄関の明かりのすぐ下でふたたび合掌し目を閉じると、ゆっくりと、玄関上の電灯の中に吸い込まれるように消えたという。