下宿
2018/07/14
私が独身の頃、隊外に下宿を借りていました。
そこで、テレビを見たり友人と酒を飲んだり、と自由に過ごすための部屋でした。
その下宿は築10年くらいのアパートで、その割には比較的綺麗でした。
入居してすぐ、私は変な夢を見ました。
アパートで寝ている自分を見下ろしている夢でした。
しかし、変なのは二階にある自分の部屋から、一階が透けて見通せていた事でした。その透けて見える一階には、大学生のような男性が上を見上げて立っていました。
いや、それは立っていたのではなく、首をつってぶら下がったまま、私のほうを睨んでいたのでした。
ハッとして、目が覚めたときには、もう夜明け前でそのまま部隊に仕事に出掛けました。
その日の昼休み、その下宿の親戚という同僚の方とたまたま一緒になり、昨夜、こんな夢を見たんです、と何気に喋ったところ、その人は真剣な顔で「おい、アソコで昔、首吊りがあったんだよ。なんで知ってるんだ」と、きつく質問されました。
当然、そんな事があったなんて露にも知りませんでした。
それからしばらくした、ある日演習から帰ってくると、中隊の当直から呼び出されました。
「下宿の大家さんから、苦情がきている。すぐに行ってこい」との事。
訳が分からず、大家さんの所に行って話をうかがうと、なんと、留守中にステレオが大音響で鳴り響き、警察まで来た、との事でした。
大家さんはとりあえずプレーカーを落としてステレオを止めたそうです。
私は、「おかしいなぁ・・・」と思いながらも詫びをいれて、自分の部屋に戻りました。
その日の晩の事でした。
いつものように音楽をきいていると、突然、「ピピッ」と音がしたかと思うとボリュームがドンドン上がっていくのが見えました。
目の前で触れてもいないボリューム・つまみがドンドン動いていました。
気味が悪くなった私は、ステレオの電源コードを抜き、そそくさと隊内にあるえ独身寮へと帰りました。
さすがにそれからは怪現象は収まりました。
しばらくして結婚しましたので、今はどうなっているのかは分かりません。
ちっとも怖くないですね。でも不思議&迷惑な出来事でした。
結婚してから妻に「いやー、独身の頃のあの下宿気味が悪かったよ」って言ったら、
「そりゃそうでしょ。入口に御札貼ってあったやん」って言われました。
気が付かなかった・・・