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武者絵本

2018/07/12

先日知人が目を赤くして会合にきたので、それを見てふとあの時のことを思い出したのです。
私の学生時代のこと、父が同じように目が原因不明で真っ赤になって病院に行っても原因がわからず、今にも目から赤い物が流れだしそうな奇妙な状態になったのです。
その頃、親戚縁者に不幸が相次いでいて、その度に遺品の整理で我が家にも色々な遺された品物がお越しになっていたのですが、遺品と言うのは今思えば余程気をつけていただかないと何が起きるかわからないと思ったものです。
誰かがなくなれば争いがあちらこちらで勃発しますが、私のところは無難なところで本をいただくことにしました。
よほど価値のある珍しい物、美しいものなら皆が欲しがりますが、その本は古いし破れているし、しかも武者絵で好みが分かれさらには戦闘シーンなどは、私も見たくないほどの絵です。
こんな物に関心があるのは時代劇が好きな私の父ぐらいなもので、それをもらっても私は気持ち悪くて本棚ではなく、父の物置に置いてもらうことにしました。
父が目がおかしくなってどうしたら良いかわからなくなっていたある日のこと、飼い猫がどうしてもある本を落とします。
あの本です。
拾い上げて父の物置に置きなおすと、またそこから落とすと言うことのくりかえし、最後にぱっとあるページがひらいてその本が落ちさすがに頭にきながら拾い上げて本を表に返して目に飛び込んできた絵で、全身鳥肌が立ちました。
その前にあるテレビを見ていたのです。
お馴染みの心霊特集です。
その日のお話は他人事ではなく、私も興味のある内容でした。
そのお宅のご主人、目が真っ赤になってお使者さんに相談しても原因不明と言われたとか、霊能者が床の間の絵を指摘します。
その絵は武者絵、武者が馬上で首を掲げています。
武者はいかにも首をとって自慢げでその首から血が滴り落ちています。
猫が繰り返し落としていた本に出ていたのは、まさにその絵だったのです。
我が家には霊能者は居ませんし、父に事情を言ってその本を元の持ち主の遺族に返すことにしました。
どうしたのか急にと言われたそうですが、ズバリそのことを言うこともできず、やはりこういう古い本はその家の主と共に生きるものだと思いますで、とか何とか言いながらお返しすることに成功しました。
私は初めから気持ちが悪いと思っていたのですが、何か感じる時は考えなければならないとその体験から感じるようになったのです。
父の目も何もなかったかのように綺麗になおって、これはこれで良かったと思っています。
本を返してもらった親戚でこのような事態は起きていないので、物はあるべきところにあるものだと思いました。

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