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夜中に遊ぶ子供達

2018/07/09

大学のとき、四六時中合宿をしている体育会の部に入ってた。
その合宿所での話。
そのとき俺が寝てたのは、四畳半くらいの部屋に2段ベッドを4つ押し込んである風通しの悪い部屋の、出入り口そばの下段のベッドだった。
8月の暑い盛りだったけど、クーラーなんてものはなく、おまけにその日は、俺の使ってた扇風機が壊れてた。
代わりの扇風機を探すのも面倒なくらい疲れていたので、部屋の奥の窓と、出入り口を開けっ放しにしただけで、もうそのまま寝たんだけど、たぶんこれが良くなかったんだと思う。
霊感がない、と自負する奴でも、なにかの気配を感じることはあると思う。
たとえば夜道を一人歩きしてるとき、誰かが後ろにいるような気がする、とか。
その夜、暑苦しくて夜中に目が覚めたとき、それに似た気分に襲われた。
誰かが廊下を走ってるような、そんな気がした。
合宿所のルールは消灯22時で、(時間は覚えてないけど)そんな夜中に走り回る奴なんていない。
だからこれはたぶん気のせいだ、とそう思おうとした。
思おうとしても、「何か」の気配は消えてくれない。
それどころか、だんだん強くなってくる。
誰かのはしゃぎ声が聞こえた気がした。
ぱたぱた走る小さい足音が聞こえた気がしてきた。
誰かが俺の寝てる部屋に、出たり入ったりしているような気がしてきた。
気づいたら、身体が動かない。
どうも金縛りというやつらしい。
気配はもう、気配というより確信に近いものに変わっていた。
本当にそれが「見えた」のか、「聞こえた」のか、と言われると確信はないんだけど、気のせいで片付けるにはあまりに濃い気配だった。
これは気のせいじゃない、ぜったい何かいる、そうとしか思えない。
その気配は、連れだって遊ぶ子どもたちのものだった。
たぶん5歳とかそのくらい。ぱたぱた廊下を走り、はしゃぎ声を上げている。
人数は2人か、3人か。
たまに、俺の寝てる部屋にぱたぱたと駆け込んでくる。
俺の寝てるベッドの中に、手に持ったゴムボールみたいなものを投げ込んでくる。
ベッドは壁にぴったり押し付けてあったから、ボールはその壁に跳ね返って、俺の腹の上でバウンドして、またその子の手の中に戻る。
その子は楽しそうに、その遊びを繰り返す。
やがて飽きたのか、また外に出てぱたぱた走り去る。
いまのところ、俺にとってはこの夜が、生涯で一番怖い夜だ。
金縛りを気合で払ってその子らを追い払うとか、とてもじゃないけどできない。
必死で気づかない振り、眠った振りをしていた。
たぶんこの子達はただ単にはしゃいで遊んでるだけで、悪気はないんだろう。
だけど、悪気がないから無害とも限らない。
一緒に遊ぼう、とか言われたらどう反応したらいいんだ?
この子達の機嫌を損ねて、どんな災厄が降りかかってこないとも限らない。
悪いけど、俺は何も見てないし聞いてないよ、という顔をして寝た振りを続けた。
走り去って、気配も薄れて、音も聞こえなくなって、ちょっと安心したころになったら、また廊下の向こうからぱたぱたっと戻って来て、俺のベッドでボール遊びを繰り返す。
そういうのが何度も続いた。
その合宿所はうちの部の学生Onlyで、子どもが入り込む所ではなかった。
近所で子どもが交通事故に、とか、合宿所が建つ前はここは保育園だった、とか、そういう子どもに関する因縁を聞いた覚えもないから、たぶんあれば、寝苦しい夜に見た夢だったんやとは思う。(何でそんな夢見たのか分からんけど。)
けどその翌日は、壊れてない扇風機を後輩の部屋から奪って来て、さらに近所の古本屋で岩波文庫の「般若心経」を買ってきて、枕に敷いて寝た。
扇風機と般若心経と、どっちが効いたのかは知らないが、その子達が出て来たのは、その夜が最初で最後になった。

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