真夜中の神社
2018/07/09
これ当時アベック殺人事件とか宮崎事件で騒がれてた頃の話なんだけど。
だからもうかなり昔の話。
その頃おれ少し車に興味があってね。
仲間と夜な夜な色んな所を走り回ってたんだ。
その日もまあこういうトコがあるよ、皆で行こうってことで遠い山道延々と走ってたのよ。
そしたら途中ポツリと信号があってね。
なんか知らんが運わるくおれだけ取り残されちゃったんだ。
やれやれっつーことでタバコ吸おうと不意に横見るとうっそうとした森にでかい鳥居が見える。
真夜中の神社ってキモいし連中は行っちまうしはよ変わらんかいなと思いつつさらに上を見上げたんだよ。
そしたらさ。
しめ縄??みたいな白いものでぐるぐる巻きのなんか異様にでかい岩があったんだ。
俺は早くその場から離れたかったんではよ変われよと思い続けていたんだが一向に信号の変わる気配はない。
よく見ると信号がついているのは俺が走ってる道路だけで交差する神社に続く小道には信号がついていないではないか。
これはやばいと思って信号無視して走り出そうとした瞬間、神社と反対のほうからぞろぞろと人が歩いてくるのが見えた。
あわててブレーキを踏んでその人たちが交差点をわたり終えるのを待っていた。
みんな特異な格好をしているわけでもなく、普通に、何人かは話をしながら道を渡ってゆく。
20人ぐらいの集団だったがどうやら神社のほうに向かっているらしい。
ふとあることに気づいた。
特におかしな格好をしているわけでもないと思っていたがみんな服装がなんとなく古いのだ。
髪型も一時代前の感じだ。
60年代のサイケデリックな感じ。
なんか変だと思いながらその集団を見送っていくと神社の上にあったでかい岩の中に入ってゆくではないか。
もちろん岩は大きなただの塊で入り口などついていない。
そこにみんな吸い込まれていく。
本当にやばいと思ってふと前を見るとさっきまであった信号がない。
これ幸いとばかりにスピードを上げ、その場を立ち去った。
しばらく走ると山道を少し下ったコンビニで仲間が待っていた。
遅れた理由を話してもみんな信じてくれない。
信号などひとつもなく、走りやすい道だったのこと。
一息つこうとコンビニに入ったところで俺は息を飲んだ。
さっきの集団の最後尾にいた男がレジで飲み物を買っていた。
髪が長く、バンダナを巻いてパンタロンをはいた男が。
驚いて立ちつくしているとその男はすれ違いざまに
「だれにもいうなよ・・」
と言ってコンビニを出て行った。