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幼い私だけがみた、おじさんの最後の姿

2018/06/16

私が幼い頃の話です。
幼すぎて、自分が何歳だったかは不明ですが、
たぶん3,4歳、幼稚園に入る直前ぐらいの頃だったと思います。私の家は商売をしており、母は不慣れな商売を手伝いながら
私の育児と家事をこなしていたと聞いています。母の母、つまり私の祖母は体が悪く、叔父の家におり
育児などを手伝ってもらうことは不可能だったので、
時に母は私を背負ったまま、集金に出かけたり、支払いに出かけたりしていました。
これらは全て大きくなってから聞いた話なので、その頃の記憶はもちろんありません。しかし、どうしても私を連れて行くことが困難なこともあり、
そのときに助けてくれたのは、家に真向かいに住んでいたおじさんとおばさんでした。
なんでも、一人娘さんが嫁いでから寂しくなり、
時折泣き止まない私を抱っこして眠らせてくれたり、
一緒におもちゃで遊んでくれたりと、母曰く、本当の父(祖父)のようであったといいます。嫁がれた娘さんには、長い間お子さんができず、
その代わりに可愛がっていてくれたのかも、という話も聞きましたが
理由はどうであれ、当時の母にとってはとてもありがたいご夫婦でした。あるとき、母に連れられて得意先へ集金に行ったときのことです
不慣れな電車で疲れたせいか、私は眠っていました。
駅に着き、電車を降りると、私の名前を呼ぶ声が聞こえました。声のほうに振り向く私・・・
しかし、私は目が開けれません。
夕日のせいなのか、まぶしすぎて、目を開けることができないのです。
不安になり泣き出す私。
声からは、近所に住むおじさんであることはわかるのですが、
とても眩しい光のせいで姿を確認できません。母は「すいません、今まで寝てたので、機嫌が悪いみたいで」というようなことを話しておりました。
「そうか、私ちゃんは寝てたんだね。お母さんと用事に出かけてえらかったね。
おじさんが、ご褒美買ってあげよう」
そういって、そこにあった売店で、動物園の絵本を買ってくれました。
お礼を言いなさい、と督促され、おじさんを見ようとしますが、やはり眩しくて見ることができません。
どうしてか、すごく悲しくて泣き続けるわたしに、
「またね。元気でね」
そういって立ち去るおじさん。
ごーっという音と共に
眩しい光の中に吸い込まれるように、ゆっくりと消えていきました。本当に、ゆっくりと、吸い込まれるように・・・。そのあと、特に眩しいと思うことなく記憶はそこで終わっています。このときの情景だけは私の頭から離れることはありません。この次の日、おじさんは脳梗塞で帰らぬ人となったそうです。この駅での出来事(光に吸い込まれるようにという部分は省いて)母に話すと
懐かしそうに、あれが最後だったねえ、よく覚えてたねえと、うなづきながら話します。幼い私だけがみた、おじさんの最後の姿。
あの光はきっと、天国へ続くの道だった。その入り口を私は見てしまったのかもしれない。
優しくしてくれたおじさんが旅立つ、その情景を見たのかもしれないと、今でもそう信じています。

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