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あるカップル

2018/06/10

これは、あるカップルのおはなしです。
二人はまだつきあって半年もたっていなかったんですが、職場が同じということもあって、親しいつきあいをしていました。
ところがある日、ふとしたことでけんかになり、彼の心無いひとことにいたく傷ついた彼女は、大量の睡眠薬を飲んで自殺してしまいました。
一方彼女とけんかしてむしゃくしゃしていた彼は遅くまで飲み歩き、家に帰って寝てしまいました。
翌朝起きてみると、彼の携帯電話に彼女からの留守電が入っていました。
「さよなら。」
とひとこと。
彼は、慌てて彼女のアパートにかけつきましたが、そのときすでに彼女は冷たくなっていました。
それからしばらく、彼は彼女のことばかり考えて、酒びたりの日々を過ごしていました。
しかし、死んだ人間というのは忘れられてしまうのが常です。
やがて彼も立ち直り、新しい彼女ができました。
はじめのうちは、彼も新しい彼女を楽しげにつきあっていたのですが、そのうち異変がおこりました。
彼女の部屋にふたりきりでいるはずなのに、なぜか彼は誰かの視線を感じるのです。
彼は、そのことを彼女に話しましたが、気のせいじゃない、と相手にしてもらえません。
でも、彼は、すぐそばに“何か”がいる気がしてしかたがありませんでした。
しかし、彼はなるべく気にしないようにし、彼女を抱いて眠りにつきました。
そして翌朝。
彼は、寝返りをうった拍子に、なにかヌルッとしたものが手に触れて、目を覚ましました。
シーツが濡れてる?と思いながら目をあけると、ベッドの上は血の海でした。
彼の新しい彼女は無残な姿で空を見つめていました。
そして、彼の手には血がべったりとこびりついた包丁が…。
死んだ彼女の仕業なのか、それとも彼自身がやったのか、真相は薮の中…。

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