黒い手
2018/06/10
当時学生だった頃に、知り合いの会社の保養所に行った時の話です。
箱根にある、山自体が別荘地になっている所なのですが、そこの山頂付近にある保養所で、一見お洒落な一軒家になってました。
そこには何度か行った事もあったのですが、少し見える体質の私は、以前からそこには沢山の人影を見た事がありました。
その日は、私と友人のMと2人で夕方に着いて、あとから友人Tカップルから連絡が来るのを待っていました。
保養所の造りが1階が吹き抜けのリビングになっていて、2階はロフトになっていて、その奥に寝室があるのですが、以前から2階にあまり良くない「影」を見ていた私は、2階の寝室は使った事が無く、1階のリビングでくつろいでいました。
友人のT達から連絡が来るまでテレビを見ながらまっていたのですが、1階のリビングにある大きな窓に反射して見える2階ロフトには、たまに「影」が往復しているように見えていました。
その日は良く晴れた日だったのですが、急に夕立になって空が暗くなってきた時に空気が重くなってきて、2階の方から
「パタタタ・・・パタタタ・・・」
と足音まで聞こえてきました。
嫌な予感がするなと思っていたのですが、友人Mも顔色が悪くなってる事に気がつきました。
2人で顔を見合わせ、暗黙で
「言葉に出したらヤバイ」
と思った2人は、白々しく
「下のコンビニに酒でも買いにいくかー」
等と言って、とりあえずこの場から逃げ出そうとしました。
その時、玄関のチャイムが鳴って、友人Mは
「やった!Tカップルが来た!」
と玄関に走っていったのですが、その瞬間にものすごく危険を感じた私は
「待て!開けるなー!!」
と叫びました。
何故なら、Tカップルはこの保養所の場所を知らなかったのですから。
勢いあまってMが玄関を開けてしまった瞬間に、外から沢山の「黒い手」が流れ込んでくるのを見ました。
その「黒い手」を振り払い、パニックになった私とMはそのまま裏口から外に出て、車で近くの駅まで逃げました。
その時、山を下る私の車はシューマッハ並に速かったと思います・・・
駅でTカップルと合流して、訳を話し保養所に戻りましたが、戻った時は元に戻っていました。
それからも何度かそこの保養所には行きましたが、少人数では絶対に行きませんでした。
知り合いの会社の人達でも、そこではやはり色んな事が起こっているようです。