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最期に会いに来てくれた愛犬

2018/05/27

一人暮らしをしていた大学生の時のことです。夜中にふと目が覚めました。ベッドに横になって本を読んでいたのが、いつの間に寝てしまったのか。本の内容が夢と繋がって現実と区別がつかないような不思議な感覚でした。過ごしやすい夜でしたが、自分が嫌な汗をかいていることに気がつきました。段々と意識はハッキリしてきたのですが、体がピクリとも動きません。(あ、金縛り…)生まれて初めての金縛り体験でしたが妙に冷静で、なるほどこれが金縛りというものか、と納得する自分がいました。小学生の頃読んだ心霊特集のマンガで、金縛りにあった時は今日が何月何日かを思い出すといい、と書いてあったことが頭に浮かびました。と、その時お腹の上に何かがドサっと落ちてきたのです。まさに上から落ちてきたという感じでした。(何かがいる!?)心臓が跳ね上がりました。目をこらしても部屋は真っ暗で何も見えません。いつもこんなに暗く感じないのに…。お腹の上に何かが乗っている感覚ははっきりとしていて、しかもだんだんと顔のほうに近づいてくるのです。感覚がお腹から胸、首元までくるのがわかりました。金縛りは続いており、視線を下に向けることも出来ずにいると(出来たとしても怖くて見られませんが)、顔のすぐそばで激しい息づかいが聞こえました。ハッハッハッと、獣のような息づかいです。鼻先に生ぬるい息も感じます。心臓がバクバクして、ずいぶん長い時間そうしていたように思いました。あ、今日は5月24日だ!)ふと思い出して、思い切って声を上げて見ました。うめき声のような声が自分の耳に届いた瞬間、視界が開け、見慣れた部屋の天井が目に入りました。金縛りも解け、何の気配もない部屋の様子が、外灯のあかりで電気をつけなくても見ることができました。
(夢だった…?)まだも心臓はバクバクしていましたが、ひとまず水を飲みに立ち、気持ちを落ち着けて、その日はそのまま眠りました。
次の日の朝、目が覚めると携帯に母からのメールが届いていました。
「ベスが昨日死んでしまいました」
それは、小学校の頃から飼っていた愛犬の死の報せでした。ショックを受けると同時に、昨晩のことが頭に浮かびました。獣のような息づかい。思えば犬のようだった…。実家を離れて暮らす私のところまで、最期に会いに来てくれたのかな?そう思うと、恐怖心が消えていくようでした。ただ一つ気になることが。昨日帰宅後閉めたはずの部屋の鍵が開いており、きちんと片付けてあったはずの部屋の中に、少しだけ物が散らかっていたのはどうしてだったのでしょうか…?

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