川辺に着物の女性
2018/05/25
私が小学生だったときの話です。
放課後、友人たちと近所の公園でサッカーをしていました。
夕方になり解散となりました。
私と友人A君は家が近かったので一緒に帰ることにしました。
私の家のすぐ近くには小さな川があります。
その川には橋があるのですが、車は通れず人が渡る専用の橋でした。
周りは住宅街なのですが、その橋を利用する人はあまり多くありません。
堤防にも草が生い茂り、その川だけひっそりとした感じのする場所です。
私とA君は今日のサッカーのことを振り返ったりしながら帰っていました。
話が盛り上がったので橋にもたれながら少しそこで話していました。
しばらく話していると、A君がじーっと視線をそらさず堤防を眺めるようになりました。
どうした?と私が聞くと、A君が「あそこ見て、白い着物を着た人がいる」というんです。
指をさす先を見ても、私には草むらがあるだけで何も見えません。
どこ?どこ?と聞くと、あそこあそこ!川を見て立っている女の人がいるでしょ!とA君が興奮して言うんです。
私はじーっと見ても全然見えません。
まだ夕方ですし、薄暗い程度でお化けという感じの時間でもありません。
しかし、見えはしないけどだんだん怖くなってきて、A君と一緒に走って帰りました。
その日の夜、夕方のことはすっかり忘れていました。
食事とお風呂を済ませ、いつも通り就寝しました。
いつもは目が覚めないのに、その日は目が覚めました。
時計を見ると2時を少しまわっていました。
尿意を感じたので、トイレへ。
用を済まし部屋に戻ろうと思ったとき、ふと夕方のことが頭をよぎったのです。
私の部屋からも川の堤防が見えるのを思い出して、なんとなく窓を開けて川の方を見たのです。
しかし、やはり何も見えません。
見えないよなーと思いながら窓を閉めようとしたとき、ふいに涼しい風が吹いたんです。
夏には似つかわしくない冷たい風が。
私はぶるっと身震いして窓を閉めて、なんとなく怖い気がして布団を頭からかぶって寝ました。
翌日、起きて学校へ行く準備を済ませたとき、ふと昨日のことを思い出したので、また窓を開けて見ようと思いました。
そしてカーテンを開けた瞬間からだが固まりました。
なんと窓ガラスに両手と両足の後がベタッとついていたのです。
そしてそのサイズも異様でした。
右手と右足は大きく大人のサイズ。
左手、左足は小学生くらいの子供のサイズと、まったく違ったのです。
怖くてカーテンをまた閉めて学校へ行きました。
その日帰ってからおそるおそる窓ガラスを見ても、手と足の跡はありませんでした。