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日本人形と姉

2018/05/24

数年前、友人から
「変な人形が家にある」
と、連絡を受けて早速友人宅へ行った
その人形はおかっぱ頭でスッとした細い目、赤い口紅の着物姿、まさに日本人形なのだが素材が違う。
普通、日本人形って固い素材?で出来ているじゃないですか
それが、その人形はUFOキャッチャーによくある人形と同じ柔らかい素材で出来ていた。
そのくせ一丁前に着せ変え式になっていて、帯の部分のマジックテープを外すと、裸体がポロリと出て来る、女だった。
友人の姉がフリーマーケットで洋服を買った時、オマケでそこのダンボール箱の中の物を1つ持って行って下さい、と、言われ、その時に貰って来たと言う。
友人の姉曰く
「なんとなく寂しそうな顔をしていた。家は大家族なので寂しく無いかなと思って連れて来た」
友人宅は祖父、父母、友人(男)、姉2人、妹2人、弟の9人家族で、大きめな2階建ての家に住んでいた。
人形の被害?にあったのは友人、人形を貰った姉(姉A)、妹2人の4人だ
友人の場合ー家族が集まる居間で1人昼寝をするといつの間にか人形が添い寝をしている
姉Aの場合ー居間にいると横を向いていたハズの人形がいつの間にかコチラを見ている
妹2人の場合ー自分達の部屋で、その人形を使い遊んでいたら全然知らない女の人の声が人形から聞こえた
弟の場合ー夜中トイレに行くと廊下の真ん中に人形が倒れていた、弟そのまま失禁
とりあえず俺は友人宅に行き、その人形と対面。
なんというか妙に色気を感じる人形だったが、恐いという印象は無かった。
すると弟と妹達が
「遊ぼう!」
とやって来たので相手をしていると友人が
「ちょっと買い物してくるから面倒見ていてくれ」
と、外出してしまった
庭でチビッコ達と縄跳びしながら人形の事をそれとなく聞いてみると
「あの人形、驚かすから嫌いだ」
と口を揃えて言う。
その内友人より先に友人母が帰って来て
「せっかくだから夕食食べてきなさい」
と、言ってくれたので、そのまま暗くなるまで縄跳びしながら待つ事に。
そして友人も帰って来て夕食。
一人暮らしの俺にとってなんとなく恥ずかしい夕食も終わり
「それじゃあ、そろそろ・・」
と帰ろうとすると
「泊まって行けよ」
と友人が言うので泊まる事に。
喜んだのはチビッコ連中。
俺としては姉様方と親しくなりたかったのだが・・
その後チビッコ達が遊び疲れて眠った後に友人とゲーム等をして、人形の事などすっかり忘れてしまっていた
そして11時頃に風呂に入る。
ホカホカと湯気が立って暖かそう。
そしてシャワーの後に頭を洗っていると
「あらぁ」
と、女の声がした。
頭を洗う手が止まる。
「・・・お姉さんでも間違って入って来たのかな?」
と思い
「スイマセン」
と謝る。
が、何かおかしい。
風呂に入って来たならドアを開けた音がするはずなのに音などしていなかった。
「やばいやばい」
といそいで目を開けようとするもシャンプーが目に入り悶絶。
泣きながらシャワーで洗い流す。
その間も
「あらあら」
とか
「うふふ」
と聞こえる。
どうやら湯舟の方から聞こえるようだ。
いつもならそのまま逃げるのだが、友人宅なら叫べば誰かが来てくれるので強気になって、ゆっくりと湯舟に目をやった。
いた。
例の日本人形が湯舟にぷかぷか浮かんでいる。
御丁寧に服まで脱いでいる。
涙がボロボロ流れた。
けど少し落ち着くと
「別に怖がる事無いんじゃねえか?直接俺に害をおよぼした訳じゃないし、服を脱いで風呂に入る礼儀正しさを考えると、そんなに悪いやつではないんだろう」
と思った。
まぁ、人形とは言え、女と風呂に入るのも悪くは無い
「ハオイハイ、失礼しますよ」
と、一緒に風呂に入りボディーシャンプーで体も洗ってやった。
風呂上がりに洗面所でコイツの体を絞って水分を出してやろうかとしたが、なんか痛そうだなーと思い、タオルで拭いてやる事にした
するとドタドタと音を立て姉Bが洗面所に入って来た
「・・○○(友人)の友達?」
「あ、はい、そうです、・・あ、この人形がいつの間にか湯舟にいたもんで、あ、スンマセン」
そう言ってそそくさと人形を手に洗面所を後にして友人の元へ。
全てを友人に話し
「姉様にキチンと説明しておいてくれ」
と頼んだ。
「じゃあ、風呂上がりにでも言っておくよ。とりあえず姉Aに言って来るわ」
と部屋を出て行く。
しばらくすると友人と共に姉Aがやって来て
「何何?人形に風呂で襲われたって?」
と興味津々な顔で聞いてきたので事細かに説明すると
「人形に気に入られちゃったね、結婚しちゃえば?お似合いだよ」
と、ゲラゲラ笑いながら言った。
その間もロクに水分を拭き取れなかった人形からはポタポタとズボンに水分が落ち続けた
「じゃあもう、一緒に寝ちゃえば」
の姉Aの言葉で、一緒に人形と寝るハメに・・。
次の朝、姉様達と朝食食べたのだが居間に置いた人形の視線より姉Bの視線が心無しか恐かった。
「昨日、一緒に寝た人形に何かされなかった?」
の姉Aの言葉に姉Bがピクリと反応した。
さらに姉Aが
「○○君(俺の名前)、その人形と結婚するんだよねー」
と、たたみかける。
ついに姉Bは視線さえ合わせてくれなかった。
今、その人形は姉Aの友人の人形好きの人に引き取られたらい。
後日談と言えば、それからしばらくは友人宅に行きにくくなった、という位でしょうか・・
姉Bの視線の恐さは、いくら友人に説明してもらったとは言え、人形と風呂に入った事で変態扱いされたかもしれないからです。
洗面所で下着持って入って来た姉Bと遭遇した気まずさもあったのですが・・
さらに朝食の時、俺が人形を抱えて居間にやって来た事も姉Bの俺変態説に拍車をかけたのかも、と気が気ではありませんでした
その後友人に何度か聞くと
「別にそんな事思って無いって、姉Bも妹や弟や姉Aに色々聞かされてたんだから、人形の事で」
と誤解も無かった事がわかり友人宅にも普通に行けるようにはなったのですが、姉A、Bは俺の顔を見る度にニヤニヤ笑いながら
「人形に会いに来たの?」
とか
「もう人形はいないよ」
とか言われるハメになりました

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