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半端な時間

2018/05/16

午前3時頃、眠りが浅かったのか外の音が耳についた。
カツ…カツン…カツ…カツン…
ハイヒールの音だ。
どこかの女が歩いているらしい。
こんな夜更けに…。
何となく特徴的な靴音は、片方に重心が偏っているせいだろうか。
うとうとしながらそんな事を考えていた。
靴音は段々近付いて来る。
そしてそのまま俺の部屋の窓の下を通り過ぎ、左の方へ歩いて行ったようだ。
靴音は段々遠ざかる。
が…
…ツ…カツ…カツン…カツ…カツン…
また戻って来る。
どうやら窓の下を右に左に、往復しているらしい。
なんなんだ、と俺はいらついた。
音が気になって眠れないじゃないか。
女は歩き続ける。
うるさい。うるさい。うるさい。
急に、頭の上に気配を感じた。
ぎゅうっと頭を押さえつけられる。
これは人差し指だ。
人差し指はゆっくりと俺の頭を撫で回し始めた。
男の指だ。
だんだんと動きが速くなる。
ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり
人間の動きじゃない。
さっきまではなかった恐怖感が喉元に迫り上がって来た。
だけど動けない、金縛りだ。
どうしよう、どうしよう、どうしようどうしようどうしようどうしよ
「うわああああああああ!!!!」
叫んで思い切り目を開いた。
靴音も、指の感触もなくなっていた。
携帯を見ると4時42分。
随分半端な時間に来たんだな…と思った。

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