牛女
2020/05/05
30年前、神戸の筑紫小って小学校行ってたんだけど、六甲山の中にある自然の家に林間学習に行く行事があった。
そこは森の中にある普通の宿泊施設。
でも六甲山という事で、「ここは牛女が出るんや!」とムードメーカー的な教師が話し、生徒たちを怖がらせていた。
俺たちが寝泊まりする部屋は8人部屋。
二段ベッドが並んでいて、部屋の奥は大きな窓があり窓の外はもうすぐ森の景色になっている。
いろいろ行事を済まし、夜7時ごろ。
部屋に戻って皆でドラゴンボールの話をしていると、隣の部屋から女子生徒が泣き叫ぶ声が聞こえてきた。
「えっ!?何や!?」と俺らも驚いたその瞬間、窓にバンッと影が張り付いた牛の仮面だ。
俺らも女子たちと同じく悲鳴を上げるすると牛は笑いだし、仮面の脱ぐとムードメーカーの教師が現れた「おいっ!はよ寝る準備せんと牛女が来るぞっ!この窓は見回りに便利やな、お前ら丸見えやぞ!ははは!」と笑う。
俺らは悲鳴と笑いが混ざりあったまま、廊下へ飛び出して、ほかの生徒に「今めっちゃびびったぞ!あの先生が~~!」と報告に行こうとした。
すると廊下の隅で施設のアルバイトの女の人二人が泣きながら悲鳴を上げていた。
うずくまる二人の腕を引っ張りながら、施設の館長が「おいっ!大丈夫なんや!!違うんや!今日は違う!!大丈夫や!!」というような言葉を繰り返していた。
おわり