暗闇よりも濃い影
2019/03/14
俺は小4、妹は小3、
2人部屋の2段ベッドで寝てた。
部屋にはベッドの横に通路を挟んで
机が2つ並んであって、
枕元には小さなタンス、
その向かいにドア、
足元のほうに窓があった。
季節はちょうど今くらい、
部屋にクーラーがなかったから寝苦しい夜だった。
下のベッドで寝てた俺は、
あまりの暑さに目が覚めた。
ドアのほうにある掛け時計を見ようと、
寝ている体制のまま左を向いた。
暗くてよく見えない。
目を凝らしてみてみると、
ドアが2、30センチくらい
半開きになっていることに気づいた。
影がいた。
暗くてよく見えなかったが、
暗闇に溶けるように薄暗いドア、その隙間から、
それ以上に真っ黒な顔らしきものと、
ドアを掴んだ指先らしきものがそこにあった。
そのとき俺は、
顔も確認できないその影を妹だと思った。
「おい○○!早く寝ろよ!」
返事はない、
そのなんとも言えないその影とにらみ合った。
すると、突然影が点滅して、消えてしまった。
?
不審に思った俺はベッドから起き上がって、
ドアのほうに向かった。
ドアを完全に開けてみる。
誰もいない。
時計をみると、深夜1時すぎ。
上の段にも妹は確認できた。
隣部屋で寝ている両親のもとに言ってみる。
2人とも寝ている。
「…、寝ぼけてたんかな。」
寝起きで頭がボーっとしていたこともあり、
それほど深く考えずにベッドに戻った。
そしてまた睡魔が襲ってきた。
…。……。
…、目が覚めてしまった。
相変わらずすごい汗をかいている。
ただ、寝汗ではない。
それとは種類の異なったいやな汗だ。
怖かった。
なぜだかはわからなかったが、
恐ろしく怖くなった。
みたくない。みたくない。みたくない。
左の後頭部がしびれるような感覚に陥った。
みたくない。
けど、俺は見てしまった。
ドアのほうを。
完全に開かれたドア、
そこには暗闇よりもさらに濃い影がいた。
座っていた。三角座り、
体育座りのようにみえた。
視線が動かせなかった、
みたくないのに。
頭と思われる所、
後頭部からなにかか出ていた。
棒状なもの。
…。……、ポニーテール。
上の段で寝ていた妹が寝返りをうった、
ベッドが軋む。
声を洩らした、
その瞬間に影は消えてしまった。