コラッ
2019/02/03
私が小学1年の冬、
弟を産むため母は入院していて、
私は登校時、誰もいない家を一人で出るのがなんとなく嫌で、
父もまだ幼い私がちゃんと施錠して家を出られるか不安だったみたいで、
しばらく父の出勤時間に合わせて、
普通の子の登校時間より一時間くらい早く登校してたのね。
教室はガランとしてて、
私は電気を点けて、
ランドセルをしまう。
特にやることもないから、
本を読んだり、自由帳に絵を描いたり、
鼻歌を歌ったりして、
誰かが登校してくるのを待ってた。
ある日、
一人で黒板に落書きをして時間を潰してたら、
背後で
「コラッ」
って声がしたのね。
私はびっくりして振り返ったけど、
勿論教室にはまだ誰も来てない。
一応、廊下にも出てみたけど静まり返っていて、
巡回の先生や用務員が来た様子もない。
気のせい?
でもすごくはっきり聞こえたよなぁ
と思って、
黒板を振り返ってゾッとした。
私の描いた、
女の子とうさぎと花の絵が、
赤いチョークでグチャグチャに塗りつぶしてあった。
気味が悪くて、
私はそれから朝早く登校するのを止めた。
基本的に、
校内ではひとりにならないようにした。
今でも、
「こらっ」
て声を聞くと背中が凍る。